極左、極右の両方から熱烈な反対にあっているフランスのマクロン大統領と、中国の習近平国家主席(写真:Ian Langsdon/ロイター)

英国の偉大な詩人、T・S・エリオットは「4月は残酷な月」と吟じた。だが、今年は9月こそ最も残酷な月の名にふさわしい──。そう各国の政治家たちが考えたとしても無理はない。

たとえばマクロン仏大統領。極右政党・国民戦線のルペン党首への反対票をバックに大統領になった比較的無名の政治家だ。同氏の経済政策は今、極左、極右の両方から強烈な反対にあっている。

英国は現実を突き付けられる

不人気な緊縮財政や公務員の昇給凍結に加え、同氏は雇用慣行を改革しようとしている。政治的な嵐が吹き荒れることは間違いなく、労働組合は9月の第2週にゼネストを行うと揺さぶりをかけている。

英国において9月は、欧州連合(EU)離脱に縛られたメイ政権と英国民が現実を突き付けられる月となろう。メイ政権で環境相を務めるゴーブ氏はかつて、離脱交渉がいったん始まってしまえばハンドルを握るのは英国だ、と言っていた。だが、崖から落ちようとしている車の運転席に座りたいとは、誰も思わないだろう。

米国のトランプ大統領は共和党議員との関係が止めどなく悪化し、重要法案通過の可能性も急降下。歳出法案で9月に議会と合意できなければ、連邦政府は閉鎖に陥る。政権中枢メンバーは次々に辞任。自身のロシア疑惑に対する捜査も、すぐには終わらないだろう。

9月にはトランプ政権と中国が火花を散らすこともありえる。トランプ氏の保護主義とグローバル化への敵意によって、世界全体に暗雲が垂れこめている。だが、中国が自分勝手な経済ルールにのっとり行動しているとのトランプ氏の主張は、あながち間違いではない。

見過ごされてきた中国の暴挙

端的に言って、中国は自らが合意した世界貿易機関(WTO)のルールに従っていない。自国市場を国際競争から守り、外国企業に国内市場へのアクセスを認める際も、中国企業と合弁を組むか、知的財産を譲渡するよう求めてくる。

国際的な貿易ルールを無視するトランプ氏の言動ばかりが注目される中、見過ごされてきたのが、こうした中国の暴挙である。秋の党大会で習近平国家主席と共産党指導部は、中国には公正なやり方で経済成長を目指す強い意志があるとのメッセージを発するべきだ。そうなれば、9月の残酷さは多少なりとも和らぐだろう。