そもそも、“こむら返り”とはどういうものか。
 東京都多摩総合医療センター血液内科の外来担当医は、こう説明する。
 「一般的には『筋肉(主にふくらはぎ)の一部が、本人の意志に反して収縮し続けている状態のこと』ですが、では、なぜこうしたことが起こるのか。ふくらはぎの筋肉が、ある要因で縮むとき、アキレス腱の感覚器官であるゴルジ腱器官(腱紡錘)は、腱が伸びすぎないように筋肉を制御する働きをするんです。ところが、ふくらはぎ部分の筋肉の収縮を伝達する筋紡錘と、このゴルジ腱器官の働きがアンバランスになり、ふくらはぎの筋肉が勝手に収縮することで激痛を発するのです」
 また、夜寝ている時にこむら返りが起こりやすいのは、ふくらはぎの筋肉が収縮しがちとなり、ゴルジ腱器官の働きが低下しているためで、冷えたり、足の筋肉の使いすぎ、水分不足で起こることもあるという。

 主な原因をまとめると、次の4点になる。
 (1)ミネラル不足=筋肉のバランスを取っているのがミネラル。これが不足すると体を動かすあらゆる伝達が上手くいかなくなるため。
 (2)水分不足=脱水状態により体内のミネラルバランスが崩れる。そのため(1)のように筋肉や神経の動きを調整するミネラルの働きが乱れ、筋肉が異常な状態を生み、こむら返りを起こしやすくなる。
 (3)運動不足=運動が足りないとスムーズに体が動かなくなる。さらに筋肉は使わないと衰え、硬くなることから、何らかの拍子で筋肉が収縮する際に異常が起きやすくなる。
 (4)主に足の太い血管が動脈硬化を起こして詰まる病気、「閉塞性動脈硬化症」を患っている。

 足がつる場合、(4)であれば危険だ。症状が軽い場合は下肢の冷感や色調の変化が見られ、少々重たくなると痛みのために歩き続けることが困難になる。
 「その痛みは、安静時でも起こり、やがては下肢に激痛が走るようになります。閉塞性動脈硬化症は、現在800万人の患者がいるとされ、脳卒中や心筋梗塞にもつながる重篤な病気と言われます。下腹部の奥あたりで両足に分かれる太い動脈が硬化して詰まり、下肢に血液が流れにくくなり、最悪の場合、切断することもある。それと同じ状態が脳で起これば脳卒中、心臓なら心筋梗塞を発症するということです」(専門医)

 ただし、「閉塞性動脈硬化症かどうかは、簡単な検査で分かる」と言うのは、下肢静脈瘤専門で外来を受け付けている血管外科クリニックの担当医だ。
 「閉塞性動脈硬化症の症状は、まず片方の足がつる(痛む)。また、歩くと100メートル前後ほどで足が痛くなり、つったりする。しかし、休むとまた歩ける、というのが多い。血流が悪くなっているので、足に触れれば冷たいし、内股、内くるぶし、足の甲などの動脈も、健康な人に比べて弱くなっているのが特徴です」

 加えて、担当医は閉塞性動脈硬化症かどうかを見分ける簡単な方法を次のように教えてくれた。
 「まず足を支えてもらうか、壁に足を掛けるかして上に上げる。そして30秒から1分間、足首をグルグルと回す。両足の色を確認して片方だけ白くなるようなら患っている疑いがあります。その場合は早めに診察を受け、軽い場合は自分で改善することもできる。“1分間歩いて3分休む”を10回繰り返す。それを1週間に3日ほど続けることで新しい血流が改善するはずです」

 ただし、前述のように脳卒中や心筋梗塞などの重大な疾患が隠されていることもあるため、自覚症状を見逃さず医療機関にいくことを勧めたいという。