出典:文部科学省国立教育政策研究所「いじめ追跡調査2013-2015」より

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■まずは「事実」を抜き出したメモをつくる

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Q.親が知ったら「すぐに弁護士と相談」が正解か

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もし、お子さんがいじめの被害を受けていることに気づいたら、いちばん大事なのは事実関係の把握です。

初日は子供に、いじめの内容を思うままに語らせましょう。「やられたときどんな気持ちだったか」という本人の思いは親として受け止めてやりつつ、「事実」の部分だけを抜き出して簡潔なメモを作ります。

翌日は学校を休ませ、お子さんが少し落ち着いたところで、事実関係を改めて確認します。「いつ」「どこで」「だれに」「何を」されたかを、できる範囲で具体的に整理し、リスト化していきます。初日の話と事実関係やニュアンスが変わったときは、随時修正を加えます。

事実関係を整理できたら、担任の先生に面談の約束をとり、いじめの状況を口頭で、かいつまんで説明します。びっしり書き込んだ書類を渡すより要点を簡潔に伝えるほうが、学校の先生には効果的だからです。

学校としての対応を考えてほしいと依頼したら、その日はいったん帰りましょう。具体的な対応策をこちらから提示しないのは、学校は自分たちで決めたこと以外は基本的に行わないからです。いきなり父親が出ていくと身構えてしまう先生も多いので、最初の相談はお母様が行くのがおすすめです。

今はすべての公立校、私立でも大半の学校が、各校の「いじめ防止基本方針」を定めており、それに沿っていじめ事案への組織的対応が行われることになっています。公式サイトにアップしている学校も多いので、できれば目を通しておきます。

■「さっさと転校」も一つの選択肢

学校サイドがいじめを認識しても、加害者やその親が認めないようなとき、あるいは学校の動きがあまりに鈍いときは、事実関係をさらに強固に裏付ける証拠を集めることになります。お子さんにボイスレコーダーを持たせて実際のいじめの様子を録音させる(相手の名前がわかるようにする、録音を悟られないよう実況風は避けるなど、ちょっとした練習は必要です)、LINEなどSNSのスクリーンショットを保存しておく、などが代表的です。

最終的な落とし所は、クラスを替えてもらう、鍵のかかるロッカーで私物を管理するといった物理的ないじめ予防策と、教師の立ち会いのもとで加害者が被害者に謝る「謝罪の会」あたりでしょうか。高校では退学や停学などの処分もありえます。訴訟も一つの手段ですが、なかなか期待通りには進みません。子供の負担を考えると、集めた証拠で相手の責任だけを明確にし、さっさと転校してしまうことも一つの選択肢です。

ひどく殴られたり服を破られたりする、脅されてお金をとられるといった、大人であれば刑法で◯◯罪と名前がつく悪質ないじめを受けている場合は、初動の段階で形だけでも警察に相談しておきましょう。最近の警察は、悪質ないじめ事案には動いてくれますし、警察からの連絡で学校の対応が素早くなる可能性もあります。このレベルのいじめであれば、弁護士に相談するのもいいと思います。

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「いつ、どこで、だれに、何を」まずは子供に聴取してリスト化

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阿部泰尚 

特定非営利活動法人ユース・ガーディアン代表理事、T.I.U.総合探偵社代表。5000件以上のいじめ相談、330件以上の困難事例解決を経験。著書に『いじめと探偵』など。

 

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(特定非営利活動法人ユース・ガーディアン代表理事、T.I.U.総合探偵社代表 阿部 泰尚 構成=川口昌人)