マンチェスター・シティはSBを一挙に3人獲得。ダニーロ、ウォーカー、メンディ(左から)が加わった【写真:Getty Images】

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サイドバックに巨額投資。チームの総合力もアップ

 現地時間8月31日、欧州主要リーグの移籍市場が締切を迎えた。この夏も各チームで様々な移籍があったが、それぞれ主要クラブの動きはどうだったのだろうか。今回はマンチェスター・シティの補強を読み解く。

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 ジョゼップ・グアルディオラ監督の2年目となる今季のために、マンチェスター・シティがこの夏獲得した新戦力はバレンシアから復帰したエリアキム・マンガラも含め6人。うち3人がサイドバックという少し偏った補強であった。

 シティは、イングランドを代表するサイドバックに成長したカイル・ウォーカー、フランス代表のバンジャマン・メンディ、そしてブラジル代表のダニーロという3人の大型サイドバックの獲得に、1億4000万ユーロ(約186億円)もの資金を使った。

 このサイドバックの補強は近年のシティの課題のひとつであったDFラインの若返りを図るだけでなく、サイドからもゲームを組み立てて、ゲームを支配しようという指揮官の今季のプランが垣間見える。

 DF陣の大型補強に加えて、ポルトガル代表のベルナルド・シウバの獲得にも成功した。昨季フランスリーグ優勝を果たしたモナコの主力であり、卓越したスキルを武器に鋭いスルーパスを前線に供給することができるポルトガル代表アタッカーである。

 セルヒオ・アグエロ、ガブリエル・ジェスズ、ダビド・シルバ、ケビン・デ・ブライネ、レロイ・ザネ、ラヒーム・スターリングという強力なタレントからレギュラーの座を奪うのは難しいが、リーグ戦、カップ戦、CLと多くの試合が控えているため、出番は少なからず与えられるであろう。

 指揮官肝入りで獲得したクラウディオ・ブラーボが期待を裏切ったGKには、ベンフィカで評価を高めたエデルソンを獲得。ブラジル代表経験を持つ若き守護神はセービングだけでなくビルドアップやカバーリングでも高い能力を発揮するモダンなタイプで、早くもレギュラーの地位を確固たるものにした。

 シティによる今移籍市場における、大量の投資を行った効果はすでに出始めている。プレミアリーグ第4節のリバプール戦では、デ・ブライネのパスからアグエロが決めるセンターラインからの崩しに加えて、メンディによるサイドからの崩しも再三にわたって見られ5-0で大勝した。

 一気に若返りを図った最終ラインには負傷を繰り返していたヴァンサン・コンパニが復帰し、健在ぶりをアピールしている。パワーアップしたサイドアタックに加え、タレント豊富なアタッカー陣による機動力を生かした多彩な攻撃は欧州屈指の破壊力を誇る。戦力の充実ぶりは明らかだ。

 監督キャリアを通じて初めて無冠となった昨季は、指揮官にとっても悔しい1年だったはず。この2年で移籍市場に投じた資金は総額4億5000万ユーロ(約600億円)を超える。選択肢豊富な攻撃陣に加え、的確な補強を行った守備陣を要する今季はグアルディオラ監督にとっても勝負のシーズンとなる。

補強・総合力診断


マンチェスター・シティの2017/18シーズン予想布陣(黄色は新加入選手)

IN
GK エデルソン(ベンフィカ)
DF カイル・ウォーカー(トッテナム)
DF ダニーロ(レアル・マドリー)
DF バンジャマン・メンディ(モナコ)
DF エリアキム・マンガラ(バレンシア/期限付き移籍から復帰)
MF ベルナルド・シウバ(モナコ)

OUT
GK ウィリー・カバジェロ(チェルシー)
DF アレクサンダル・コラロフ(ローマ)
DF パブロ・サバレタ(ウェストハム)
DF ガエル・クリシ(イスタンブール・バシャクシェヒル)
DF バカリ・サーニャ(未定)
MF ヘスス・ナバス(セビージャ)
MF アレイシ・ガルシア(ジローナ/期限付き移籍)
MF フェルナンド(ガラタサライ)
FW ケレチ・イヘアナチョ(レスター)
FW ノリート(セビージャ)

補強評価:A

 サイドバックに資金をつぎ込みすぎた印象も、ディフェンスラインの強化と若返りを一気に図った点では評価できる。ベルナルド・シウバという期待の若手を獲得し、前線の層を厚くすることも忘れなかった。

 唯一の弱点を挙げるとすれば、センターバックの層の薄さか。ジョン・ストーンズ、ニコラス・オタメンディやヴァンサン・コンパニと実力者は揃うが、結局補強は進まず放出が既定路線と思われていたマンガラをチームに残さなければならなくなった。不安定さを露呈した昨季から守備をどう改善していくか注目される。

総合評価:B

 世界トップクラスのアタッカーが揃っている。アグエロ、G・ジェスズ、スターリング、シルバ、デ・ブライネ、ザネと、前線は誰がピッチに立っても遜色ない。ベルナルド・シウバという新戦力も加わり、グラルディオラ監督は最適な組み合わせを見つけるのに頭を悩ませるに違いない。

 中盤はフェルナンジーニョやヤヤ・トゥーレに加え、昨年12月に負った靭帯損傷の怪我でリハビリ中のイルカイ・ギュンドアンが復帰すれば隙のない陣容が完成するはずだ。今季は3バックでも4バックでも、中盤にアンカーを1人置く形が基本になる。そこで求められるのは第一に守備力となり、フェルナンジーニョがファーストチョイスという現状は変わらないだろう。

 前線の層の厚さと比較すると、最終ライン、特にセンターバックは計算できる控えが少なく、必然的にレギュラー陣の負担は大きくなる。攻撃力が爆発しても、守備が崩壊すればチームは停滞する。バランスを適切に保ちながら、攻守にわたって相手を圧倒するサッカーがグアルディオラ監督の目指すところだろうか。

 2年続けて移籍市場に大金を注ぎ込み、今季は失敗の許されない1年になる。プレミアリーグ制覇を狙うだけでなく、これまで手の届かなかったチャンピオンズリーグのタイトル獲得も同時に目指していかなければならない。

text by 編集部