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TVRがついに帰ってくる

完全自社開発で個性的なハイパフォーマンス・スポーツカーを産み出す伝説のメーカー、TVR。一度は破綻したが、新たな経営者の手で再建が図られ、いよいよ待望のニューモデル、新型グリフィスを発表した。

5.0ℓV8を積み、トン当たり400psを超えるというそれは、£90,000以下と予告されるが、初期ロットの生産分はすでに完売間近だという。

新生TVRの門出を迎えた今、このブランドを特別な存在に押し上げた往年のモデルたちを振り返ろう。

TVRグランチュラ(1958〜67年)

奇妙な名前と、さらに奇妙な外見。しかし、この初の量産モデルは、経営破綻までのクルマたちのテンプレートとなった。それはシンプルなシャシーと短いホイールベース、フロントエンジン/リアドライブのレイアウト、グラスファイバー・ボディ、そしてポルシェにやや劣る組付け精度といったものだ。初期モデルは購入者がエンジンを選んでオーダーできたが、後にMG用ユニットを搭載するようになった。

710kg程度の軽量さゆえに驚くほど速く、見た目のわりには安心して運転を楽しめるグランチュラは、趣味のロードカーとしても素晴らしいが、ヒストリックレースに出走すれば高い戦闘力を発揮するマシンとなる。現在の英国相場は£30,000(452万円)からといったところだ。

グリフィス200/400(1964〜1967年)

1960年代、アメリカでチューニングショップを経営していたジャック・グリフィスは、TVRにシャシー供給を打診する。ACコブラに始まる、英国製小型スポーツカーに大排気量のアメリカンV8を積むスタイルを、定番化したいというのが彼の目的だった。

そうして生まれたのは、グランチュラのシャシーにフォード製4.7ℓV8を積んだもの。スーパーマーケットのカートもかくやというショートホイールベースながら、レース仕様ではGT40に迫る出力をマークした。グリフィスというのはアメリカでの通り名だったが、やがてTVRの正式な車名として採用される。

ヒストリックレーサーとして重宝されていることもあり、この初代グリフィスはもしかしたら最も需要の大きいTVRかもしれない。FIA認定レース仕様は、£150,000(2261万円)もの値段が付けられている。

TVR Mシリーズ(1972〜1979年)

ひと括りにMシリーズとしているが、その中には2500Mと3000M、タイマーが含まれる。これらは、ユーザーが求めていたほんのわずかな実用性が付与され、TVRの新たな方向性を切り拓いた。それまでのモデルより作りがよくなり、キャビンは広くなり、洗練性も高められたが、走りはほとんど犠牲にしていない。

中でもトピックといえるのが、1976年に登場したタイマー・ターボだ。それは英国初の量産ターボ車で、3.0ℓV6の最高出力は233ps、最高速度は225km/h以上に達した。現在の相場は£4,500(68万円)から。

ウェッジシェイプ・モデル:タスミン/350i/420SEACなど(1979〜1987年)

1980年代のTVRは、ピーター・ウィラーの登場前後でカテゴリーを変える必要があるほど、いい意味で激変した。1979年登場のタスミンは、2.0直4仕様と2.8V6仕様があるが、いずれもパフォーマンスは低いものだった。

1981年にTVRの経営権を手に入れたウィラーは、これにローバーV8を搭載した350iを製作させ、さらに390SEや420SEACなどの強化版を設定した。この350i以降のモデルは過小評価されており、ルックスにさえ不満がなければ狙い目といえる。

価格は、あまり見栄えの良くない350系で£8,000(121万円)といったところだが、大事なのはコンディションと履歴の方だ。内装の汚れは年式を考えればやむを得ないし、基本的なメカニズムは容易に修理できる。ただし、シャシーやGFRPボディにダメージがあるものは避けよう。£5,000(75万円)ほどの安価に釣られて買うと、修復に大きな手間暇と費用をつぎ込む羽目になる。

TVR S1/S2/S3/S4(1987〜1994年)

ピーター・ウィラーが1981年に経営権を掌握して以降、新規開発された最初のモデルがこのSシリーズだ。

際立ってレトロなそれはTVRのエントリーモデルで、ウェッジ系のデザインや高価さに不満を持つひとびとにも訴求した。シャシーはタスミン用を簡素化したもので、そこにタフなフォードV6を搭載。手に汗握るほどの爆発的な速さはないが、0-97km/h加速7秒以下、最高速度225km/hであれば激しく不満に感じることもないだろう。

一連のモデルはどれも同じに見えるが、1988年からのS2ではフォード製ケルンV6が2.8ℓから2.9ℓへ拡大。1990年にはスタイリングに手が入ったS3が登場し、1992年まで生産される。

写真は最終型のS4で、上位のV8Sのコンポーネンツを流用するなどの改良が図られた。どれもメカニズム面はシンプルでケアしやすいが、GFRPのボディワークに問題がある場合は修復費用がかさむ。

TVR 400SE/450SE(1988〜91年)

ウェッジ系の最終モデルは、タスミンの頃より曲線的になったボディに、次世代型TVRのパフォーマンスを併せ持つ。4.0ℓバージョンは272psを発生し、実際のところ最強とは言わないながらも、1150kgのクルマを速く走らせるには十分すぎるほどだ。外観では、大型化されたフロントスポイラーや、大きく広がったスカートなどが識別点。価格は、£10,000前後といったところだ。

TVRタスカン・レーサー(1989年)

TVRでも特に成功したモデルのひとつは、ロードゴーイングカーではない。そのタスカン・レーサーは16年もの長きにわたり、手厚いサポートの下で開催され、高い評価を受けたワンメーク・レースの参戦車輛だ。当初は、GM製ユニットをベースに開発されたローバーV8を搭載していたが、ローバーの身売りでエンジン供給が止まったため、1990年には自社製ユニットであるAJP8を開発して導入した。

軽量ボディとハイパワーエンジンの組み合わせは、ドライでさえドライビングが容易ではないが、ウェットでは一瞬たりとも気が抜けない。しかし、レギュレーションは厳しく、テクニック不足をカバーするようなモディファイはできなかった。腕に覚えがなければ乗りこなせないが、それでもサーキット走行用に手に入れたいというなら、価格は£25,000からといったところだ。