3横綱2大関が休場するなか、豪栄道(右)が新鋭の阿武咲を下し、意地をみせた (撮影・中井誠)

写真拡大 (全3枚)

 大相撲秋場所6日目(15日、東京・両国国技館、観衆=1万816)かど番の大関豪栄道(31)が、前日までただ一人全勝だった平幕阿武咲(おうのしょう、21)を押し出し、ともに5勝1敗となった。白鵬、稀勢の里、鶴竜の3横綱、大関高安に加えてこの日から大関照ノ富士(25)が左膝の負傷により休場。大正7年夏場所以来、99年ぶりに3横綱2大関が姿を消す土俵となった。勝ちっ放しが消え、1敗で豪栄道、阿武咲、平幕大栄翔(23)、平幕大翔丸(26)の4人が首位に並ぶ。

 国内男女の平均寿命からすれば、一生に一度もみられない。照ノ富士の離脱に伴い、3横綱2大関の休場は99年ぶりの異常事態。虚無感すら漂う土俵を、豪栄道が締めた。

 立ち合い。ここまで5連勝と勢いに乗る阿武咲に、額と額でぶつかり合った。相手の鋭い出足もあって一気に後退。だが、俵に右足を掛けながら左へ体を入れ替え、押し出した。

 「(阿武咲は)芯の入ったいい当たりだった。でも、相手はみえていたし、落ち着いて取れた」

 1横綱1大関、3人の役力士を倒した21歳の挑戦を退け、「こういう相手のほうが気合が入る」。大関の面目を保ち潮目をかえた。それでも、地に足をつけてはいない。ここまで立ち合いでの注文相撲が2番あり、この日も押し込まれた。

 99年前の夏場所は4横綱4大関のうち横綱大錦(第26代)、2代目西ノ海、鳳、大関九州山、伊勢ノ浜が休場。結局、一人横綱となった栃木山が優勝した。当時は江戸時代から続く直径13尺(3メートル94)の土俵で、昭和6年から現行の15尺(4メートル55)に改められた。

 栃木山といえば最強のおっつけ、はず押しを武器に13尺の最短距離を走った。そして、引退して6年後。15尺の土俵で行われた第1回大日本力士選士権(昭和6年)に年寄として参加して優勝。土俵の大小ではなく、近代相撲を確立させた「型」で勝った名横綱だ。

 1年前の秋場所。今場所と同じかど番で迎えながら史上初の15戦全勝を果たした豪栄道にも右四つで、頭をつける型がある。混迷の場所。「それは意識せずに、集中してやれば結果はついてくる。信じてやる」。乱世から平定へ。大関が土俵を落ち着かせる。 (奥村展也)

元大関の琴奨菊を圧倒し、星を五分に戻した関脇御嶽海「立ち合いが良かった。ようやくじゃないですか」

平幕豪風にはたき込まれた平幕石浦「(同じ東の)玉鷲関に『相手は引いてくるからついていけ』と予言されたんですが、無視しちゃった。今度は言うことを聞きます」

データBOX

 ◎…幕内合計8人の休場(6日目から出場の佐田の海を含む)は、野球賭博問題で6人が謹慎した平成22年名古屋場所を除けば、17年名古屋場所以来となった。

 ◎…大関の降下は現行制度となった昭和44年名古屋場所以降では、1月の初場所の琴奨菊以来で17人目(20例目)になる。