【ワシントン=小雲規生】トランプ米大統領が野党の民主党への接近を図っている。

 トランプ氏は14日、大統領選での看板公約だったメキシコ国境の壁建設を後回しにすると発言。13日には移民制度を議題に民主党指導部と協議しており、このところ共和党を袖にする態度が目立つ。ただしトランプ氏と民主党の間では政策の詳細で食い違いも残るうえ、関連法案成立には議会多数派の共和党の同意が不可欠なのも現実。トランプ氏の奇策の先行きは見通せない。

 「メキシコ国境の壁は後で取り組む」。トランプ氏は14日、記者団に壁建設にこだわらない姿勢を示唆した。一方では「強大な国境警備を実現する」とも述べたが、壁建設で聴衆を熱狂させた大統領選時から大幅なトーンダウンだ。

 トランプ氏は13日には民主党のシューマー上院院内総務らと会談している。議題はトランプ氏が6カ月後の撤回を表明した、子供として入国した不法移民の強制送還を免除する政策「DACA」の代替策。民主党側は「代替策を早期に法律にし、壁以外の国境警備強化を検討することで合意した」と発表した。

 一方のトランプ氏は「合意」の事実は否定している。しかしトランプ氏は6日にも国債のデフォルト(債務不履行)回避のための債務上限引き上げなどに関し、慎重な共和党を押し切って民主党と合意するなど、民主党との連携で成果を出そうとしている。

 ただしトランプ氏と民主党の間の溝は残る。シューマー氏は14日、米紙に対し、過去に何度も可決に失敗している不法移民の市民権獲得に道をひらくドリーム法について「(トランプ氏を含む)全員が支持している」と表明。しかしトランプ氏は否定した。

 さらに民主党がトランプ氏との合意で法案を作っても、共和党が上下両院の多数派を占めるため審議を始められない可能性が高い。

 トランプ氏の壁建設での軟化には反発も強い。同氏は実績作りのためあらゆる手段をとる腹づもりのようだが、支持基盤に背中を向けるリスクも大きそうだ。