「離婚」を切り出すのは年末が多いのだそうです。その理由は、「新年と同時に新しい生活をスタートしたいから」だとか。

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熟年離婚は穏やかに増えている

同居期間20年以上の夫婦の離婚を「熟年離婚」と定義すると、1990年から微増しています。国立社会保障・人口問題研究所の「同居期間別離婚数:1947年〜2014年」のデータを見ると――。全離婚中の熟年離婚の割合が13.8%を占めたのが1990年で、初めて10%台になりました。その後、2000年は15.8%、2010年は15.9%、2014年は16.6%と穏やかに増え続けています。

熟年離婚する夫婦は50代以上が多いと思われます。夫が定年退職したとたん、退職金の全額を取り上げて離婚した妻の話を聞いたことがあります。筆者は、妻がそれだけのことをするにはそれなりの夫婦の歴史や事情があるのだろうと推察しつつも、「夫の老後資金はどうするのだろう?何もそこまでしなくても…」と、夫に同情の念を禁じえません。

それはさておき、熟年離婚は、夫婦どちらかからの申し出でも、よくよくの理由がない限り、思い止まった方がいいでしょう。特に、妻は。長年、専業主婦や夫の扶養の範囲内でパートをしていた人が離婚し、経済的に自立するのはそう簡単なことではないからです。離婚時に、しっかり慰謝料と財産分与を受ければ当座はしのげるかもしれませんが、一生、働かなくても暮らしていけるほどの財産をもらえるケースはほとんどないでしょうから。

離婚しないですむ方法を模索して

そして、老後は経済的にもっと大変です。女性の場合、会社員だった期間を通算した厚生年金と基礎年金(65歳から)なので、充分な金額とは言えません。これは、学校を卒業してから定年退職するまで会社員を勤め上げた女性にも言えることなので、結婚で会社をやめたりしてブランクのある女性はなおさらです。

離婚した夫婦の年金格差を緩和するために、年金分割制度が設けられていますが、夫の厚生年金を分割してもらっても、年金額が劇的に増えるわけではありません。やはり、老後は夫婦で肩を寄せ合って暮らすのが賢明です。

「熟年離婚」が頭によぎったら「老後」のことを考え、離婚を思い詰めるより、どうしたら離婚せずにすむかを模索した方がいいでしょう。家庭内円満別居(居室や寝室を別にする)や、最近話題になってきた卒婚(離婚するのではなく、夫婦それぞれが好きなように暮らす)もアリだと思います。

ただし、生命に関わるようなDV(ドメスティックバイオレンス)や、耐え難いパワーハラスメント、相手の借金返済が自分に及ぶなど深刻な事情がある場合は、その限りではありません。
(文:小川 千尋)