L’Ultimo Uomo 戦術分析“新しいミランの夜明け”

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この夏、ヨーロッパで最も派手に動いたクラブの1つが、中国資本が経営に参画し名門復活を期すミランだ。ケシエ、コンティといったセリエA有望株から、リカルド・ロドリゲス、チャルハノール、アンドレ・シルバといった国外の代表クラスまで、移籍市場での勢いは際立っていた。いったいモンテッラはどんなチームを作るのか?イタリアのWEBマガジン『ウルティモ・ウオモ』の分析レポートを特別掲載。

文 エミリアーノ・バッタッツィ
翻訳 片野道郎

 この10年間ヨーロッパはポジショナルプレーの大きな波に席巻されてきた。しかしセリエAは、11-12にローマを率いたルイス・エンリケの失敗もあり、安全な距離を保ってそれを眺めてきた。導入の難しさなども相まって、ヨーロッパ的にもその波が引きつつある今、新シーズンのセリエAでこの原則を採用する監督はどうやら1人だけになりそうな気配である。ビンチェンツォ・モンテッラだ。

 「小さなバルセロナ」と呼ばれたカターニアからスペイン色が強いフィオレンティーナまで、モンテッラはシステムや戦略の部分でバリエーションを大きく持たせながらも、プレー原則のレベルでは一貫してポジショナルプレーを基本としてきた。ファビオ・バルチェッローナが彼のフィオレンティーナを分析した原稿で指摘したように、モンテッラは「システムが不変の土台だとは考えておらず、選手の個性と対戦相手に合わせてピッチ上の布陣を調整する」タイプの監督である。

 モンテッラの基本にあるのは、「美しいサッカーを現実的なやり方で追求する」という姿勢だと言える。スピードのあるトランジションによってスペースを攻略する戦略を選ぶこともあれば(カターニアでアレハンドロ・ゴメスの持ち味を引き出した)、チーム全体を押し上げて前進することを通じてスペースとボールをコントロールするためにポゼッションを軸に据えることもある。

 彼のチームが机上の戦術理論に基づいて構築されることはない。プレーモデルはチームが擁する選手に最適化されており、システムは特定の局面における選手の配置を示す以上の意味を持たない。カターニアで基準となるシステムは[4-3-3]、フィオレンティーナでは当初[3-5-2]だったが2年目は[4-3-3]に戻った。ミランでの1年目も[4-3-3]が基準点だった。

新しいミラン?
Un nuovo Milan?

 基準点だった、と過去形で述べたのは、ミランが大量の新戦力を補強しつつある今、モンテッラがそれに合わせてチームを再構築する可能性も十分にあるからだ。とはいえ、彼が今まで一貫して使い続けてきたポジショナルプレーというプレー原則は、今後も変わらないだろう。

 最も基本のところにあるのは、試合の4つの局面(攻撃/攻→守の切り替え/守備/守→攻の切り替え)は相互に繋がり合っており、したがって攻撃的トランジション(守→攻の切り替え)は守備的トランジション(攻→守の切り替え)と完全に一体化しているという考え方。ビルドアップが狙い通りに進みコンパクトな陣形を敵陣まで押し上げることができて初めて、カウンターのリスクにさらされることなく失ったボールを素早く奪回することが可能になる、というわけだ。ボールサイドに数的優位を作り出してパスを繋ぎ敵陣に進出しようとするが、同時にピッチの幅もカバーする陣形を取ることで、守備側は困難な選択に直面することになる。

 昨シーズンのミランにおいてモンテッラは、フィオレンティーナにおいては守備のための道具としても機能してきたボール支配という要素を度外視して、戦術を構築することを選んだ。その結果として、ポジショナルプレーへのアプローチはアントニオ・コンテのそれに近いものになった。守備の局面においては数的優位を基本とし、奪ったボールは早いタイミングで縦に送り込む。それに合わせて前線のアタッカーはあらかじめ決められた動きで裏のスペースを突くというメカニズムだ。守備の局面はフィオレンティーナ時代と比べてアグレッシブネスが下がり、敵のDFには自由にボールを持たせることが多くなった。

 ミランは昨シーズンを通して、縦への展開を急ぐ結果として生じる陣形の間延び、セクション間の分離と、その副作用としてのボール奪取の受動性という欠点を克服できなかった。この欠点は少なくない部分、チームが擁する選手のクオリティに起因していた。モンテッラは与えられた戦力に戦術を適応させようと試みたが、その結果として生まれたのは安定して試合をコントロールすることができず、スムーズにボールを運ぶことにも困難を抱えるぎくしゃくしたチームだった。

フレッシュなメンバーでプレシーズンを過ごしたミラン。少なくとも緊縮財政を続けていた近年の停滞感は払拭された

最終ラインに新戦力
Forza fresche dietro

 7月半ばの時点ですでに、ミランはそれぞれのセクションに新戦力を獲得して、陣容の大刷新へ第一歩を踏み出した。この「工事」(とりわけ余剰戦力の整理)はおそらく8月31日まで続くことになるだろう。昨シーズンのミランはほぼすべてのセクションにクオリティを欠いていた。新戦力の加入を受けたモンテッラが、昨シーズン最も困難な状況に陥った時にも捨てなかったポジショナルプレーという原則を、新チームにどのような形で適用するのかは注目されるところだ。

 最終ラインは、明らかに最も大きな刷新が必要なセクションだった。ほとんどのDFが絶対的なクオリティとして水準に達していなかったというだけでなく、モンテッラが求めるタイプとは異なっていたからだ。選手を入れ替える必要性は、彼らが「守れない」からではなく「攻撃を助けられない」ことから生じていた。

 ポジショナルプレーという考え方にとって、ビルドアップの初期段階は最も重要なフェーズにあたる。ヨハン・クライフが言っていたように、クリーンなボールが出てこなければ質の高い攻撃はできない。ミランは質の高い球出しができるCB、すなわちロマニョーリを擁していたが、彼のパートナーにふさわしいプロフィールを持ったCBがいなかった。パレッタもサパタも本質的にはストッパーだからだ。しかし、新戦力のマテオ・ムサッキオは、ボールを持っても戸惑うことなくプレーし、長短のパスを使いこなすことができる。そして何より、敵プレッシャーラインの背後に生まれた数的優位を認識する戦術眼を持っている。際立った強みを持っているわけではないが、ムサッキオはアンティチポ(前方のパスカット)などの前に出る守備もこなせるし、空中戦に強いだけでなく、背後の大きなスペースをカバーして背走することもできる。

 ムサッキオはビジャレアルという「学校」で守備を磨いた。堅固なブロックを保ちながら全体を時にはハーフウェイラインを越える高い位置まで押し上げ、最終ラインから前線に素早く縦パスを送り込むというのが、その守備のコンセプト。いずれもモンテッラにとって有益な戦術的ツールになるはずだ。

 ロマニョーリとのペアは、昨シーズンよりも効果的にビルドアップをスタートする上でいい組み合わせのように見える。ミランは常にビルドアップの初期段階に5人を動員し、相手に応じて2+3と3+2(特に敵が2トップの場合)を使い分けていた。

 

ルガーノとの親善試合で見せた2+3でのビルドアップ

 
 昨シーズン、3人のDFからビルドアップを始める場合の「3人目」は、常にデ・シリオ(編注:ユベントスへの移籍が決定)が担っていた。ここにはもう1つの新たなファクターが入ってくる。左SBに獲得したリカルド・ロドリゲスだ。ロングボールを蹴ることを好むがボールスキルは高い(モンテッラが要求する高頻度のサイドチェンジには適している)という彼のプロフィールは、偽インテリオール、すなわち敵プレッシャーラインの手前にもう1つのパスコースを作り出すためSBが内に絞る動きにも適応し得るものだ。

 反対側の右サイドに獲得したコンティのプロフィールは、ビルドアップにおいては大きな役割を担わないだろうと思わせるものだが、いったんポゼッションを確立した後にミランがどう攻撃するかをイメージさせる。ほぼ間違いなく、左右のSBが事実上のウイングとして機能する[2-3-5]がその布陣となるはずだ。左サイドに人数をかけて攻撃を組み立て、そこからサイドチェンジしてフィニッシュを狙うという流れの中で、コンティはスペースをアタックする優れたタイミングの感覚を存分に生かすことができるだろう。

 加えて、両SBの攻撃的なキャラクターは、モンテッラにチームの重心を上げて、ボール奪取位置を昨シーズンよりもずっと高く設定することを促すだろう。そうしなければ、ロマニョーリとムサッキオのCBペアはあまりにも広いスペースをカバーしなければならなくなるからだ。

 選手の特徴をさらに引き出す方向には結びつかないだろうが、3バックという可能性も排除することはできない。R.ロドリゲスが昨シーズンのボルフスブルクでしばしばCBとしてプレーしたのは事実だが、そのパフォーマンスは決してポジティブなものではなかった。とはいえ、コンティという極めて攻撃的なSBの存在は、ミランの最終ラインを「3.5バック」とでも言うべきものにする可能性が高い。コンティは状況に応じて最終ラインと中盤の間を行き来しながらプレーすることになるだろうからだ。いずれにしても、右CBのムサッキオはコンティが攻め上がった背後をカバーするために外に飛び出す頻度がかなり高くなるはずだ。

 これらを総合して考えると、2人の新戦力を得たことでモンテッラのプレー原則に適応した陣容になった最終ラインは、ミランの強みになる可能性も十分にある(編注:その後ボヌッチの獲得が決定し陣容はさらに強化された)。

中盤の「灯台」を探す
Alla ricerca di un faro in mezzo

 昨シーズンのミランにおいては、ボールホルダーの周囲にパスコースを作り出すトライアングルを形成せず、敵陣でポゼッションを確立するというプロセスを丸ごと省略するケースも珍しくはなかった。自陣から一気に敵2ライン間に縦パスを通すことに優先順位を置いた結果、ビルドアップのフェーズと仕掛けのフェーズが直結することになっていた。ピッチ中央のゾーンを支配できないチームに特徴的なことだが、レジスタの役割はボールを横に動かすことだけに限定されていた。ミランMF陣の顔ぶれからすれば、いずれにしても中盤のコントロールを手中に収めるのは困難だっただろうが。

 しかしルーカス・ビリアが加入したことで、ミランはついにビルドアップの流れをスムーズにする能力を備えたレジスタを手に入れた。何よりも、焦って前線に縦パスを送り込むことなく、落ち着いて後方から攻撃をビルドアップすることが可能になるだろう(GKドンナルンマのテクニックが凡庸なレベルに留まるという唯一の弱点は残る)。

 「サリーダ・ラボルピアーナ」(2CBの間にアンカーが落ちるビルドアップのメカニズム)でポジションを下げる時にも、敵第1プレッシャーラインの後方で最終ラインからのパスを引き出すポジションを取る時にも、ビリアを通してミランはより効果的にプレーのリズムをコントロールできるようになるだろう。端的に言えば、より落ち着いて攻撃を組み立てるチームになるはずだ。縦への展開を急ぐことなく、ピッチ中央のゾーンでポゼッションを確立し、2ライン間に質の高いパスを送り込んで仕掛けへと繋げていくという流れだ。もちろん縦への早い展開も戦術的なオプションとしてレパートリーに残ることにはなるだろう。

 守備の局面においても、本物のレジスタの存在はチーム全体を押し上げボールロストに備えた効果的な予防的マーキングを行う上でも、ブロック守備時に2ライン間の危険なスペースをカバーする上でも、重要な役割を担う。ドブレ・ピボーテ(2セントラルMF)の布陣を敷く場合には、カバーリングの仕組みも変わってくるため、レジスタのスペースマネージメントはやや複雑になってくる。

 ここでドブレ・ピボーレを持ち出すのは、モンテッラが[4-2-3-1]システムを導入する可能性も――試合の中の位置局面に限られるかもしれないが――あり得るからだ。[4-3-3]からならば、単純に中盤のトライアングルを回転させるだけで十分なのだから。とはいえこれを前提にするならば、それに適したレジスタのプロフィールも異なってくる。ビリアよりもむしろフィオレンティーナ時代のバデリのように、パートナーと分担して中央のスペースをカバーする仕事に慣れているタイプがより向いている。もう1人のピボーテとなるケシエにとってビリアは、攻撃時の縦の攻め上がりや守備的トランジションでのアグレッシブなプレスという持ち味を生かす上でベストのパートナーとは言えない。ビリアと組めばケシエは、プレーゾーンを全体的に下げることを強いられるだろう。アタランタにおけるこのポジションの解釈は、通常のドブレ・ピボーテのそれよりもずっとダイナミックかつアグレッシブなものだったが、それを可能にしていたのはガリアルディーニ(フロイラー)というソリッドなパートナーとペアを組んでいたからだ。

 同時に、[4-3-3]ならば左インサイドMFとしてプレーするボナベントゥーラにも、[4-2-3-1]の左ウイングとしてより高い頻度でサイドに開き攻撃の幅を作り出す役割が求められることになるだろう。ただし、オフ・ザ・ボールで縦に走り込むセンスを生かすために、モンテッラが彼をトップ下で起用することも想定できる。その場合チャルハノールが左ウイングにポジションを移し、中央に入り込んでハーフスペースをアタックする役割を担うことになるだろう。

 とはいえ、ミランはアンカーと左右インサイドMFという3MFの中盤を維持する可能性が高そうだ。昨シーズンがそうだったからというだけでなく、プレシーズン最初の親善試合となったルガーノ戦でもシステムは[4-3-3]だったからだ。右インサイドMFに入ったケシエは、他のレギュラー陣とは大きく毛色の異なるクオリティを保証する。とりわけ重要なのは、ドリブルでの持ち上がりで攻撃のアクションを作り出す能力だ。これを組織的な文脈の中にどう組み入れるかは今後の課題だが、ミランの攻撃に新たなバリエーションをもたらすことは間違いない。特に自陣高めの位置に密度の高い守備ブロックを築く相手に対しては、それをこじ開ける大きな武器となるだろう。さらに、というよりもまずケシエは中盤に圧倒的なフィジカル的優位をもたらすプレーヤーであり、高い位置でのボール奪取を容易にすることを通して、ミランの最も大きな弱点の1つを打ち消す存在になる。

 モンテッラのサッカーにおいて、SBとインサイドMFの連係は非常に重要だ。右サイドの2人、ケシエとコンティはそれぞれ限定されたタスクを担うことになるだろうが、左サイドの2人、ボナベントゥーラとR.ロドリゲスは、ポジションを入れ替えて攻撃に流動性をもたらす上で最適な組み合わせのように思われる。一方がワイドに開いて攻撃に幅を作り出し、他方は内に絞って中央のゾーンに数的優位を作り出す役割を担うという形だ。ミランのMF陣に現時点で欠けているのは、敵陣におけるポゼッションの質を保証してくれるインサイドMF、例えばボルハ・バレーロやセバージョスのようなタイプだ。これはモンテッラのサッカーのコンセプトを考えると意外かもしれない。しかしおそらくモンテッラとミラベッリSDは、敵陣での流動性を保証するのはウイングの仕事という考えを持っているのではないだろうか。

セリエA開幕戦のクロトーネ戦でさっそくゴールを決めたケシエ(左)と、同試合でセリエA初ゴールを決めたクトローネ

前線のクオリティ
Qualità davanti

 アンドレ・シルバの獲得によって、モンテッラはやっとバッカよりもずっとバリエーションに富んだ前線の動きを手に入れることができた。A.シルバは、中盤と前線を結びつけ、2ライン間にパスを引き出し、そこから狭いスペースをコンビネーションで打開することができる。2ライン間からのコンビネーションには豊富なバリエーションが期待できる。チャルハノールとスソは古典的なウイングではなく、中央に入り込んでハーフスペースを使うことで持ち味を発揮するタイプのアタッカーだからだ。A.シルバの得点力にすべてを依存するわけにはいかない(というよりも、それほどの得点力を備えているわけではない)以上、最後の30mにおける両ウイングの貢献は、攻撃の最終局面で大きな重要性を担うだろう。攻撃の局面では前線に4、5人を送り込む場面がしばしば見られることを考えると、ミランの攻撃はより多くの選手が得点に絡むものになるはずだ。

 スソがモンテッラの戦略の中で極めて有効に機能することはすでに証明済みだ。そしてチャルハノールはまたそれとは異なるタイプのアタッカーだ。縦パスのコースとタイミングを見出す能力が際立っているだけでなく、最も先端的なゲーゲンプレッシング主義者であるロジャー・シュミットの下で磨かれた、ボールロスト直後に素早く奪回に転じる習慣もミランにとっては貴重なものだ。

 攻撃のアクションそのものをボールロスト直後の守備に直接結びつける能力は、チャルハノールだけでなくボリーニにも備わっている。キャリア最高のシーズンをルイス・エンリケ率いるローマで送ったという事実は示唆的だ。セリエAにポジショナルプレーを導入し根づかせようとしたあの大胆かつ不成功に終わった試みにおいて、ボリーニはその戦術をすんなり消化して持ち味を発揮していた数少ない選手だった。その理由は2つある。インテンシティの高いゲーゲンプレッシング、そして攻撃に縦の奥行きを作り出すオフ・ザ・ボールの動きだ。どちらも、昨シーズンのミランに欠けていたクオリティである。

 モンテッラは[4-3-3]ではないもう1つのシステムもレパートリーに加えたいと語っており、ミランはもう1人のCF獲得に動いているという噂も根強い(編注:その後カリニッチを獲得)。だとすればそのもう1つのシステムが[4-3-1-2]である可能性も小さくない。攻撃に縦の奥行きを作り出しやすく、[4-3-3]よりもさらに「バーティカル」な攻撃を可能にするバージョンだ。ロンボ(ひし形)においてはレジスタとトップ下が、ポジショナルな優位を作り出す上でより重要な役割を担う。パスコースが増える分ボールの動きはよりスピーディーになり、より積極的に縦方向への展開を探ることになるだろう。チャルハノールはこの布陣におけるトップ下としては理想的なプロフィールを持っている。裏のスペースに縦パスを送り込む能力はもちろん、[4-3-3]で大きな問題となる敵レジスタのコントロールにおいても大きな貢献が期待できるからだ。プレーのリズムが上がれば上がるほど、このトルコ人アタッカーはクオリティを発揮する。[4-3-1-2]は中央の密度を高めるのと引き換えに攻撃の幅を犠牲にするという側面を持っているが、2トップの連係した動きによってより頻繁に奥行きを作り出すことができるシステムだ。

 このミランがどのように構築されていくのか、その結果を知るためにはまだ時間が必要だ。しかし少なくとも、2つの方向性はすでに見えてきている。1つはチームの重心を上げることを通じてボール周辺の密度をより高め、守備に転じても下がるのではなく前に出て奪回を狙うことで、自陣に引いてのブロック守備の時間を削ること。もう1つは、中央とサイドの両方を、それぞれ高いクオリティで押さえていくことだ。

 ここまで獲得したプレーヤーはいずれも、ポゼッションよりは縦方向への展開に適したタイプだ。とはいえ、モンテッラのフィロソフィに高い適合性を持ち、それをピッチ上で実現する力を備えたプレーヤーであることに変わりはない。彼らを縦に急ごうとする性急さから解放し、1つのオーケストラとして調和的に機能させることができるかどうかは、モンテッラの手腕に懸かっている。それが口で言うほど簡単な課題でないことも確かだが、モンテッラならばプレーの質と結果の両方で、見る者を納得させるパフォーマンスを実現できるはずだ。

 

Photos: Getty Images