(c) 123rf

写真拡大

 キヤノンの前12月期は「10.5%の減収、35.6%の営業減益、31.6%の最終減益」と大幅に落ち込んだ。一眼レフカメラの不振が足を大きく引っ張った。

【こちらも】リコーがデジカメ事業で100億円の減損

 従来型カメラメーカーが人気減の嵐に晒されているのは、キヤノンばかりではない。市場調査会社の富士キメラ総研では背景を、「高画素、手ぶれ補正などを象徴的にスマホのカメラ機能の向上がカメラ需要の減少の要因」と指摘している。そしてこうした流れは今後とも変わらない、とする見方が支配的だ。

 実はキヤノンの御手洗富士夫CEOはここ数年来、こう公言していた。「カメラやプリンターに寄って立つ経営の時代は終わりつつある」。「何を新たな稼ぎ柱にするべきか考え続けている」。前言を端的に示したのが「前期決算」といえる。そして同社は今期を「復調計画」で立ち上がったが、中間期時点で通期の上方修正に及んだ。「19.1%の増収(4兆500億円)、44.2%の営業増益(3,300億円)、46%の最終増益(2,200億円)」。御手洗CEOの言う「新たな稼ぎ頭」が出現したのか!?

 同社を担当する外資系証券のアナリストは「カメラ部門の採算低下に歯止めはかかっていない。プリンターはOEM中心にまずまず。露光装置は半導体や液晶向けに順調」と既存部門を語った後、こう言い及んだ。「事業の構造改革に対する取り組みの効果が現れ始めた。例えば医療機器事業だ」。

 キヤノンは周知の通り「生き残りを賭けた」東芝から、好財務(17年3月末時点で、有利子負債の約5.2倍の内部留保を有する)を背景に、6,655億円を投じ画像診断装置大手の東芝メディカルシステムズを買収した(昨年12月)。この効果が医療機器部門の拡充・利益貢献を早々に現したというのである。

 だが「口ほどにものを言う」株価は、未だそうした流れを織り込むには及んでいない。期初の復調計画・上方修正を受けても、4,000円という壁の突破に至っていない。先のアナリストは「第3四半期の出方を見定めようとしている状態」とするが、4,000円突破・値域移行こそ「新生キヤノン」の証しといえよう。ちなみに15年4月の頃、同社の株価は4,000円台(高値4,539円)で推移していた。