閉館となる石原裕次郎記念館で報道陣の取材を受ける(左から)神田正輝さん、まき子夫人、舘ひろしさん=31日、北海道小樽市(杉浦美香撮影)

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 一時代を築いた俳優、石原裕次郎さんの遺品などを展示している北海道小樽市の石原裕次郎記念館が31日、26年の歴史に幕を閉じた。

 老朽化やファンの高齢化で来館者が減少し、「惜しまれるうちに」と閉館することになった。多くのファンが見守る中、妻のまき子さんは感謝と別れを告げた。

 この日午前9時の開館前から数百人が列をなしていた。午後2時からまき子夫人、石原プロの俳優、舘ひろしさん、神田正輝さんが記者会見した。まき子夫人は「小樽は60年近く前ですが、裕さんがどうしてもということで結婚前におしのびで旅行した地」と秘話を明かした。「第2の故郷と言ってよい小樽はどちらがわが家か分からない場所でした」と思い出を語った。その上で「26年間、まき子よくやったねと言ってくれるのでは」と寂しさをこらえるようにうっすらと涙を浮かべた。

 昭和9年生まれの裕次郎さんは3歳から9歳までを小樽市で過ごした。ヨットマンでもあった裕次郎さんは生前から、海の近くで記念館を作りたいと希望。62年の死去から4年後の平成3年7月、マリーナ近くに記念館がオープンした。

 記念館には、世界で数台しかないというガルウイング(はね上げ式ドア)が特徴のメルセデス・ベンツなどの車や衣装、映画のフィルムなど約2万点を展示。 開館翌年の平成4年には最多の約126万人が来場。17年ごろまで毎年約100万人が訪れていた。しかし、ファンの高齢化もあり、近年は約10万人に減少。塩害の影響や老朽化、オーディオ機器の更新などに多額の費用がかかるため閉館することになった。

 愛車のロールスロイスは小樽市総合博物館に寄贈。ドラマ「西部警察」で使った16ミリフィルムカメラや敷地内のヨットが刻印された特製マンホールも市に贈られる。遺品の大半はまき子夫人のもとに戻る。一部については全国を巡回する遺品展を計画している。

 兵庫県西宮市から車椅子の夫と訪れた板垣明美さん(70)は「夫も私も裕次郎さんの大ファン。夫が20年前に脳出血で倒れ、やっと外に出られるようになってから毎年来ている。記念館がなくなってしまったらどうしたらよいのだろう」と肩を落としていた。京都市右京区から訪れた山本弘子さん(86)は「裕次郎の映画は全て見ている。ありがとうといいたい。巡回遺品展で再会することを楽しみにしている」と語った。

 映画「黒部の太陽」のロケ地だった愛知県豊川市から訪れた大塚房雄さん(61)は「記念館入り口に飾ってあったヘルメットは豊川市の熊谷組から寄贈されたものです。なつかしい」と惜しんでいた。(札幌支局長 杉浦美香)