鈴木涼美

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 肩書を多数持つ生き方「スラッシャー」。一つの職業、価値観にとらわれない生き方が注目される昨今だが、彼女ほど肩書の総合点に破壊力がある女性も珍しい。その名は鈴木涼美。「シャネルやヴィトンみたいなわかりやすいブランド品が好きなんです。それと同じ感覚で、慶應、東大、日経、作家……いろんなブランドのタグを集めてたらいつの間にかこうなっていました」と笑う彼女が出会った滑稽なおじさんたちもまた様々だ。

◆女を買う男を女側から描く

 夜の仕事の経験を生かして、「いろんな人のオモテの顔とウラの顔を描いていきたい」と語る鈴木氏が最新刊で描いたのは、ずばりおじさん。中学生時代から現在に至るまでに出会ったさまざまなおじさんの、オモテでは絶対に見せない哀しい所業を一冊にまとめた『おじさんメモリアル』。

「特にお金を払って女を買う、というような場面では、普段見せないような男性の一面があらわになりますよね。今まで、体を売る女の人たちの内心をアカデミズムの立場から男性が分析するような作品はありましたが、女を買う側の男性の内心を描いたものは少なかったように思うので、そこを掘り下げてみたいと思ったのが執筆の動機です。それに、女を買う男の心理を、男性自身に語らせたら、都合のいいロマンチックな物語にまとめられてしまいそうで、おまえたちの口から語らせてたまるか、という気持ちもありました(笑)」

 作中に登場するエピソードのなかで、「女を買う」という場面ではなくても、日常生活のなかで読者諸兄もしでかしてしまいそうなおじさんの所業が次の6例だ。気づかぬうちに滑稽な振る舞いをして女性に冷ややかな目で見られていないか振り返ってみたほうがよいかもしれない。

◆哀しく滑稽なおじさん6選!

●名言引用おじさん
「松下幸之助がこう言った」とか、さも自分が考えた言葉かのようにドヤ顔で言ってくるおじさん。偉人の名言引用は「自分の言葉じゃ女子を黙らせることができないからニーチェの言葉でも借りておこう」といった謙虚さがまだ見えるが、「人間は出会い続ける」とか、謎のオリジナル名言を乱造するおじさんはどうしても許せない。

●別れるサギおじさん
「俺は結婚してるし、深い関係とか求めないから。彼氏とかいても全然気にしないし」などと言って若い女子に近づいてきたわりに束縛・暴走するおじさん。病状が悪化すると、会うたびに別れ話を切り出し、了承すると逆ギレし、結局別れないという茶番を繰り返すようになる。涼美調べでは40代以降のおじさんに圧倒的に多い。

●エセ悟りおじさん
 テレビ局、代理店、商社などの一流企業に勤め、社会的、経済的に成功し、その恩恵を十分に堪能しているくせに「広告なんて所詮虚業さ」「こうやって薄っぺらい日常を重ねて何になる?」などと人生を憂い、「おれはほかのチャラリーマンとは違う」とアピールするおじさん。だが、憂えてみるだけで現在の恵まれた生活を捨てる気は毛頭ない。

●中身を愛してるおじさん
「おれはお前の若さ、見た目じゃなくて、知性を愛している」とアピールするおじさん。インテリおじさんに多いが、換言すれば「女を見た目ではなく知性で愛せる俺を愛している」ということ。一段階進むと、おぼこい女をつかまえてヒギンズ教授よろしくカルチャー教育を施して悦に入るフックアップおじさんに変貌するケースも。

●S◯Xしよっ!おじさん
 一、二度会って一応連絡先を交換しただけ、というような距離感の女子に突然「次はS◯Xしようか」などとメールしてくるおじさん。「最近の若い男は草食で物足りない〜」という、若い女子のメディア向けのリップサービスを曲解したおじさんが肉食アピールをして失敗している場合が多い。断られると「冗談だよ」で済ませるのも腹立たしい。 

●チェンジおじさん
 キャバクラや風俗で、明らかな美女を相手にあえてチェンジをするおじさん。美女がショックを受ける様子を見て支配欲を満たそうとしているのが透けて見える。キャバクラや風俗の場でなくても、ハイスペ女子を前にすると「整形じゃないよね?」「性格キツそうだね」などとあえてディスって気を引こうとするネグり系の男も同類といえる。

― [鈴木涼美]とは何者なのか? ―