ロシア人の学生たちとゲームで交流を深める日本人の高校生ら=色丹(同行記者団撮影)

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 北方領土の元島民らが、旅券や査証(ビザ)なしで島を訪れる「ビザなし交流」で、日本側訪問団の本年度第8陣(蓑島崇団長)が11日、色丹島から北海道・根室港に戻った。

 教員や中高生を中心とした64人はロシアの若者らと音楽やスポーツで交流、共同経済活動のあり方についても議論した。

 一行は4日間の日程で8日に根室港を出発。上陸初日の9日は穴澗(あなま)村の文化会館で音楽を通じて交流。その後、斜古丹村に移動、今年3月にオープンしたばかりの体育館でドッジボールやゲームで汗を流した後、ロシア人宅を訪問するなどして友好を深めた。体育館での意見交流では、「もっと行き来して互いの文化を教えあうことができるようになってほしい」など日ロ双方の教員から意見が出された。

 10日は、港近くの水産加工場や消防署、日本の人道支援の際に使われたプレハブ小屋を再利用した図書館を見学。交流最後の夕食会では、鹿児島高校の福元俊一郎教諭が得意の書道で「日露友好」の文字を揮毫(きごう)した。

 参加した斜古丹村のセルゲイ・ウーソフ村長は、「共同経済活動には賛成だが、車をあげるから仲良くしようというのはロシア人の心情に合わない」という見解を示した。南クリル地区のアレクセイ・ザジラコ副行政長は日ロ両国が具体化を図る共同経済活動を巡り、2度目の調査団派遣に期待感を示した上で、領土問題については「政府の決定に従うだけ」と述べた。

 青森県三沢市の県立三沢高校2年、長瀬紗嬉さん(16)は「最初は日ロがけんかするくらいなら、島を渡してしまえばいいと思っていたが意識が変わった。将来は一緒に住む道を探れたらいい。見てきたものを学校で友人らに伝えていきたい」と語った。

 語り部として参加した元島民で札幌市の小田島梶子さん(85)は「色丹は13歳まで過ごしたふるさと。若者が中心となって譲り合いながら絆を深めていくことが大切」と話していた。(同行記者)