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もくじ

ーニッサン・マシニング・ラフニング・プロセスとは?
ーわずか0.2mm 鋳鉄製ライナーの13分の1
ー鉄系溶射皮膜 困難だった量産

photo:Hidenori Hanamura(花村英典)、日産

 

ニッサン・マシニング・ラフニング・プロセスとは?


日産は、エンジンの生産工程で用いる日産の独自技術「ニッサン・マシニング・ラフニング・プロセス(NMRP)」のライセンスを、工作機械メーカー、独ヘラー社に供与した。

これにより、世界の自動車メーカー各社は、NMRPを利用したヘラー製のマシンを導入することで、エネルギー効率の高い「鉄系溶射皮膜」を採用したエンジンを、安定した品質で量産することできる。

日産のカトリン・ペレス常務執行役員は、「日産は、自社で開発した技術を自社利用に留めず、外部で利用促進する取り組みにより、社会全体での技術発展に寄与していきます。また、これらの無形資産の有効活用によって得られる収入を、新たな技術に投資することで、自社の開発をさらに推し進めていきます」とコメントしている。
 

わずか0.2mm 鋳鉄製ライナーの13分の1

ピストンが上下運動する筒状のスペース(シリンダーボア)を摩擦や熱から保護するために、通常シリンダーボアの内側には厚さ2.6mmほどの鋳鉄製ライナーを挿入する。


近年では、エンジンの軽量化や燃費向上のために、高性能車、超低燃費車を皮切りに、鋳鉄製ライナーに替わる鉄系溶射皮膜の採用が始まった。鉄系溶射皮膜とは、溶けた低炭素鋼を吹き付ける(溶射する)ことにより、わずか約0.2mmの薄膜化を実現するもの。

加工後にシリンダーボアの内面を鏡面仕上げとすることから「ミラーボアコーティング」とも呼ばれ、軽量化や冷却性能の向上により、運転者に我慢を強いることなくエンジンのエネルギー効率を向上させる技術だ。
 

鉄系溶射皮膜 困難だった量産

一方、「鉄系溶射皮膜」は、従来の技術では安定した品質で量産を行うことが難しく、一部の高性能エンジンにしか採用されなかった。量産には、高度な溶射技術にくわえ、常に爆発・圧縮にさらされるシリンダーボア内面でも、溶射した皮膜が密着を維持する技術が必要であるからだ。


日産が開発したNMRPは、ボーリング加工の一種で、工具と加工条件を最適化することにより、溶射皮膜が強固に密着するようシリンダーボアの内面を粗面化する技術。NMRPと適切な溶射技術を組み合わせることで、鉄系溶射皮膜を持つエンジンの安定的かつ安価な量産が可能となる。

日産は、「日産GT-R」のVR38DETエンジンに初めて鉄系溶射被膜を採用し、その後
・「ジューク16GT」MR16DDTエンジン
・「インフィニティQ50/Q60」VR30DDTTエンジン
・「パスファインダー/インフィニティQX60」VQ35DDエンジン
・HR12DDRエンジン
・MR20DDエンジン
など、高性能エンジンだけでなく、ミニバンやコンパクトカーなどの新世代低燃費エンジンにも採用を拡大している。