2015年、9代目編集長を引き継いだ際、村上前編集長から手渡された創刊号。歴代編集長に受け継がれる秘蔵の一冊(c)藤子プロ/小学館

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 気が付いたら夢中になってたんです!

 えっ、ナニがかって? それはドラえもん。今月3日はドラえもんの誕生日でしたのでそれに因みまして“私とドラえもんのハッピーな40年”にしばしお付き合い願えればと。

 けっして、退屈はさせませんので!

 『コロコロコミック』40年の歴史を通して、創刊より最新号に至るまで欠かさず掲載されているのは『ドラえもん』ただ一つだけです。

 そもそも『コロコロコミック』が1977年に『ドラえもん』をたっぷり読める雑誌を創るというコンセプトで創刊されたことは、私と同年代の男性の方ならだれもが知っている話ですよね! やや自分勝手ではありますが、ズンズン進みます。

 えー、私が初めて『ドラえもん』を知ったのは、たぶん台東区立松葉小学校1年3組の1978年のこと。場所は“チリンチリンの本屋さん”だったと思います。

 チリンチリンの本屋さんって? これは誰も知らないと思うのですが、我が家の前に毎日夜8時くらいになると車で来ていた、移動式貸本屋さんのことです。

 軽トラックの荷台を改造して、おおざっぱに区切られた木箱にハードカバーの小説や漫画をぎっしり詰め込んでやって来る貸本屋さんが、昭和50年代の浅草にはまだ存在していました。

 毎日所定の場所に停車したことを知らせるために“チリンチリン”と鐘を鳴らすと、近所中の人がわれ先にと玄関からサンダルやらを突っかけて飛び出してきます。

 私は、そのタイミングで本屋さんのおじさんが荷台を覆っていたカバーを、バッ!とまくる瞬間が大好きでした。今日はどんな本を借りようか!

「まこちゃんね、もう小学校に上がったんだからこんなの読んでみたら」

 本屋さんのおじさんは優しくて、私に毎日いろんな漫画を勧めてくれました。記憶があいまいな部分もあるのですが、そんな中の一冊がてんとう虫コミックスの『ドラえもん』だったかと思います。

 まさにこの日から私の“ドラえもんブーム”が始まりました!

 まずは、仲の良かった同じクラスの野崎くんに、コミックスの中で特に面白かった1話のストーリーを、1コマ目から順番に得意になってえんえん話しました。

 誰かにこの面白さを伝えたい!いち早く知った自分が伝えなくては!

 野崎くんはホントにいい奴で、最後まで前がかりな私の話を、じっと聞いてくれましたが、今考えると『ドラえもん』のことはすでに知ってたハズです。

 なぜなら、もうすでに『ドラえもん』は充分人気があったと思うので…。恥ずかしい!

 『コロコロコミック』も創刊され、翌年4月のアニメ放送に向けてすごい勢いで読者を獲得していた1978年。

 当然のことながら私はすぐに『コロコロコミック』の愛読者となったのでした。

 コロコロ40年の歴史は、ブームの歴史でもあります。ファミコン、ミニ4駆、ポケモン、ベイブレード、妖怪ウォッチと、時代とともに様々なブームが生まれますが、そのブームの原点はドラえもんであり、ドラえもんがあったからこそ『コロコロコミック』は“ブームを創る”という雑誌の使命を持つことができました。

 ただブームというのは、決して狙って作れるものではありません。

 1978年の自分が持ち合わせていた“こんなおもしろいモノが世の中にあるんだ”“友だちみんなにいち早く伝えなくては”というアツい情熱が、時を同じくして日本中の子供たち一人一人にも備わっている瞬間、そこにブームが生まれるのだと思ってます。

 えー、あのー、日本中の男子小学生を、ときには不必要なほどに熱狂させ、興奮させるのが私たち編集部の使命であり、カッコつけて言えばプライドです!

 毎月『コロコロコミック』を創るなかでクリエイティブにおいて判断に困るようなときもありますが、そんなときは“チリンチリンの本屋さん”が来るのを心待ちにして、『ドラえもん』が大好きだった、小学一年生の自分の“素直さ”を思い出します。

 そうすると、自然に気持ちが軽くなって、心が決まっていくのです。エラソーに言えば、“読者が喜んでくれるのはこれしかない!”と。

 最後に今月の暗号を。「デュエルマスターズ新3弾気分JOEײメラ冒険104枚+αフルコンカードセット」。知り合いの小学生男児にそう叫んでいただけますでしょうか。

 一瞬ビックリされると思いますが、すぐに尊敬のまなざしを向けられるかと思います。新学期が始まって、期待と不安でいっぱいの子供たちをみなで温かく見守ってあげましょう!

 そしてダ・ヴィンチニュースでも大きく取り上げていただいている『ドラえもん物語』はなんと! 早くも重版が決まりました! ありがとうございます。

 私とほぼ同時期にドラえもんに出会い、その情熱を持ち続け漫画家になったむぎわらしんたろう先生と、藤子・F・不二雄先生師弟の熱く深いストーリーです。

 幅広い年代の、できるだけ多くの人に読んでいただきたい一冊です!

 ではまた来月、うんこちんちん!

『コロコロコミック』最新号は9月15日(金)発売!

 

和田誠(わだまこと)編集長1971年生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業後の1994年に株式会社小学館入社。『幼稚園』『おひさま』『めばえ』『小学一年生』編集部を経て、2005年より『コロコロコミック』編集部所属。2015年より同誌編集長。イベントなどでは、編集長キャラクター「まこ殿様」として登場。

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▶次回の和田編集長のコラムは、10月15日頃更新予定です!