【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権がまたも日本上空を通過する形で、弾道ミサイルを太平洋側に発射し、国連安全保障理事会の制裁決議を主導したトランプ米政権への反発を行動で示した。

 ミサイルは約3700キロ飛行した。方向を変えれば十分、米軍基地のあるグアムに届くことを実証し、トランプ政権を強くけん制した形だ。8月29日に中距離弾道ミサイル「火星12」を発射した際、飛距離は約2700キロにとどまり、沖合への発射計画を公表していたグアム付近に達するには約700キロ足りなかった。

 一方、実際にグアム沖に撃ち込めば、米国への“宣戦布告”を意味するようなもので、迎撃される危険もある。米国への過度な刺激を避けながら飛行距離を伸ばすという、限定した方向への計算された発射だったといえそうだ。

 韓国軍によると、8月の火星12発射と同様、首都・平壌の国際空港がある順安(スナン)付近から発射したとみられている。人口密集地の首都付近から発射しても「失敗しない」との“自信”を内外に誇示する狙いがうかがえる。今回も金正恩朝鮮労働党委員長の視察の下、「成功した」と大々的に宣伝し、国威発揚につなげようとすると予想される。

 日米韓は、ミサイル発射を準備する動きを継続的に捕捉しており、国際社会の監視の下での強行だった。韓国軍は、動きを予測していたことを見せつけるかのように即座に弾道ミサイルの発射訓練で「報復」姿勢を示した。

 大陸間弾道ミサイル(ICBM)完成には、弾頭部分の大気圏再突入技術の確立が不可欠とされるが、韓国当局は、技術が未確立だと分析していた。金正恩政権は、国連制裁による経済への影響が拡大する前に、ICBMを完成させるため、技術を早急に確立する必要に迫られている。

 制裁決議前、北朝鮮外務省は「米国が考えもしない強力な行動措置を連続的に講じる」と警告していた。米本土を狙う核兵器技術の獲得に向け、北朝鮮が今後もミサイル発射を繰り返す可能性は高い。