バングラデシュ・コックスバザールの病院で治療を受けるミャンマーの少数民族ロヒンギャの少年アジズル・ハクさんとベッドの脇で見守る母親のラシダ・ベグムさん(2017年9月13日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

写真拡大

【AFP=時事】ミャンマーの少数民族ロヒンギャのアジズル・ハク(Azizul Haque)さん(15)は、家族と一緒に国境を越えて逃げようとしていた際に地雷を踏み、両脚を吹き飛ばされた。

 アジズルさんは、バングラデシュ側の国境の街、コックスバザール(Cox's Bazar)の病院に搬送された。地雷の爆発で両足と手の一部を失い、多数の金属片が体中に刺さっていた。痛みに叫び声を上げたくても、それだけのエネルギーを振り絞ることができない様子だった。

 ベッドの脇でどうしようもなくただ涙を流していた母親のラシダ・ベグム(Rashida Begum)さんはAFPの取材に「アジズルが地雷を踏んで大きな爆発音が聞こえた。足が2本とも吹き飛ばされるのが見えた」と語った。

 ミャンマーのラカイン(Rakhine)州からは8月25日以降、アジズルさん一家のようなロヒンギャの人々、約37万9000人が隣国バングラデシュへ逃れている。

 バングラデシュ当局は、ミャンマーの治安部隊がロヒンギャの人々を帰還させないために対人地雷を用いているとみている。対人地雷をめぐっては、生産やその使用といったあらゆる行為が1997年の国際条約で全面的に禁止された。

 バングラデシュ国境警備隊のマンスルル・ハサン・カーン(Manzurul Hasan Khan)司令官はAFPの取材に対し、「9月3日以降、地雷の爆発を12回聞いている。少なくとも3人が死亡し、7人が負傷している」と述べた。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)のティラナ・ハッサン(Tirana Hassan)氏は「ロヒンギャ難民が移動する地点を、ミャンマーの治安部隊が意図的に狙っている。すべての状況がそれを物語っている」と話し、「組織的な迫害から逃れようとしている人々の悲惨な状況に、さらに苦しみを与える残酷で無情なやり方だ」と批判した。

 ミャンマーのロヒンギャ約110万人は、長年にわたって差別され続け、国籍も認められずにいる。バングラデシュもロヒンギャを両手を広げて迎え入れている訳ではないが、一時的な避難場所の提供は行っている。

 負傷したアジズルさんを家族が国境に運んできたとき、バングラデシュの警備兵は一家に国境を越えさせた。「大急ぎで近くにあった『国境なき医師団(MSF)』施設に連れて行き、そしてこの病院を紹介された」とラシダさんは言う。搬送後、手術が数回にわたって行われたが、アジズルさんの容体はあまり希望を持てる状態ではない。看護師は「彼の身体の90%は崩壊状態にある」と述べ、先は長くないかもしれないと語った。

 コックスバザールの慈善病院では、銃によるけが、やけど、地雷の被害で治療を受けているロヒンギャの人々が、少なくとも20人はいる。アジズルさんに大けがを負わせた地雷の爆発で負傷した人は他にも数人おり、そのうちの1人はラシダさんの別の息子だ。

 アジズルさんが吹き飛ばされた現場近くで、やはり地雷とみられるものを踏み、足を負傷したというサベクン・ナハール(Sabekun Nahar)さん(50)は、「また歩けるようになるかどうか分からない」とAFPに述べた。取材中、彼女の目からはあふれ出る涙が止まることはなかった。
【翻訳編集】AFPBB News