アイドルに国境はないーーアジアに広がるAKBグループの海外展開を考察

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 2017年9月1日、台北でTPE48オーディションの募集開始発表イベントが開催され、AKB48 チームKの阿部マリアがTPE48に移籍することが明らかになった。阿部は猛勉強してきた中国語で、「プレゼントは、私自身です! 私、阿部マリアは、AKB48からTPE48に移籍致します!」と移籍を発表。TPE48は2018年夏ごろに活動開始を予定している。

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■台湾でも大人気のAKB48グループ

 親日国の台湾でもAKB48グループは大人気だ。台湾でライブやイベントなどが過去に何回も実施されており、現地のファンはいつも日本のメンバーの訪問を歓迎している。また日本で行われる握手会やイベント、劇場公演にも台湾から多くのファンが駆けつけている。

 TPE48への移籍を強く希望した阿部も、移籍を決めた理由として「台湾での仕事を通じ、空港で盛大にお出迎えしてくれる熱狂的なところもあり、握手会では優しくて、照れたりするところもある。そんな熱くて優しい台湾のファンの皆さんが大好きになり、そんな台湾のファンの皆さんと一緒に、もっと多くの楽しいことが出来たらいいなと思った」とオフィシャルでコメント。移籍するなら「台湾がいいと思っていた」とも語っていた。

 また、台湾出身でAKB48に加入した馬嘉伶(まちゃりん)も、現地のファンから高い注目を集めている。馬嘉伶は、2015年の『AKB48台湾オーディション』で2000名超の応募者の中から選出され、2016年2月から国内AKB48グループ初の外国人メンバーとなった。日本語が全くできない状況で活動を開始した馬嘉伶だが、毎日SHOWROOMを配信し、日本や台湾のファンとコミュニケーションを取っている。彼女のSHOWROOM配信には、日本語や中国語のコメントが飛び交っており、配信を通じて日本語を学習している姿も人気だ。最近ではバラエティ番組『AKBINGO!』(日本テレビ系)や『豆腐プロレス The REAL 2017 WIP CLIMAX』に出演するなど、日本での活動の幅を広げている。

■アジアに続々登場する現地姉妹グループ

 台北(台湾)のTPE48だけでなく、AKB48グループの海外姉妹グループはアジアに広がっている。現在、ジャカルタ(インドネシア)のJKT48、バンコク(タイ)のBNK48、マニラ(フィリピン)のMNL48がある。

 現地のファンたちはYouTubeやSHOWROOMなどの動画配信サービスの他にも、Twitterや755、FacebookといったSNSを通じて日本のAKB48グループのことを熟知している。日本で放送された番組などもあっという間に拡散され、日本人以上にAKB48グループのことを知っているファンも多い。彼らにとって日本のアイドルは、クールで憧れの存在なのである。そのため地元に姉妹グループが登場することは大歓迎だ。そして経済成長が著しいアジア諸国では貧富の格差も激しいことから、地方やスラム街に住む子供たちにとって、ファンとして公演やライブに行ける人々もまた「憧れの存在」なのだ。

 海外姉妹グループの中でも一番キャリアが長いのは、2011年から活動しているJKT48。現在ではインドネシアを代表する国民的アイドルグループにまで成長している。2012年にAKB48から移籍した仲川遥香は、インドネシア語を習得し、現地で劇場公演や多数のバラエティ番組やテレビCMへ出演。インドネシアで一番有名な日本人になっている。2016年12月にJKT48を卒業したが、今もジャカルタを拠点に活動。2017年9月には、日本とインドネシアの国交樹立60周年に向けた親善大使に任命されている。また2014年4月からは近野莉菜が移籍し、JKT48の総選挙では6位になるほどの人気だ。

 またバンコクでもAKB48グループはイベントやライブを多く開催しているため、知名度が高い。BNK48は2017年2月に1期生がお披露目され、2017年4月にはAKB48から伊豆田莉奈の移籍が発表された。伊豆田は「初めてバンコクに行った時から、私の名前の応援うちわが日本よりも多かった。2回目には、1番コールも大きくて、ファンが増えていた。新しいことをやってみたいなと決心した」と意気込みを語っていた(参考:日刊スポーツ AKB伊豆田莉奈がBNKへ「トップスターになる」)。日本では『AKBINGO!』や「AKB48のあんた誰?」(NOTTV)といったバラエティ番組でも活躍していた伊豆田。彼女の安定したトークスキルと存在感は、メンバーやファンの間でも定評がある。

 まだ日本からの移籍メンバーはいないが、マニラにはMNL48が誕生する。MNL48は、オーディションで選ばれた候補者から総選挙(ファンによる投票)で64位以内のメンバーが採用。2年目以降は、前年のメンバーとオーディションの候補者を対象にした「総選挙」で、メンバーを決定することが発表されている。先日、筆者がマニラを訪問し空港を出た際も、目立つ場所に大きなMNL48のビルボードが建っていた。フィリピン人も動画配信サービスなどを通じて、AKB48グル―プのことを良く知っている。特に2年連続でフィリピンのイベントに参加しているAKB48チーム8は、現地でも大人気だ。

■日本と各国の「友好の架け橋」に

 メンバーは自ら志願して海外グループに移籍している。彼女たちにとって、言葉や生活習慣、仕事のスタイルも異なる海外で活動することは大きな挑戦だ。それでもジャカルタの仲川遥香のように、日本にいた時には想像もつかない活躍をしているメンバーもいる。

 現在、日本人が海外のタレントの動向をSNSでチェックするように、世界中の人々が日本のアイドルの活動をチェックしている。アジア諸国でもスマホが普及し、日本のコンテンツがいつでもどこでも視聴できる時代だからこそ、アイドルに国境はない。日本だけでなく世界規模で活躍できるアイドルがこれからも登場し、いずれは日本と各国の「友好の架け橋」になることが期待されている。(佐藤 仁)