FC東京戦のスーパーセーブ

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第3節 FC東京戦

 プロに入って初めてPKを止めたのがこの試合だった。新潟でもガンバでもずっとPKを止められていなかったので、そういう意味でも印象に残っている。大久保選手をよく見ることで、コースを読んで止めることができた。ただ、弾くところが悪くてシュートしやすい位置にこぼれて、ボールが向かった大久保選手の足元に突っ込むしかなかった。激しい接触プレーになったけど、辛うじてボールが腰に当たって外れた。あの瞬間、ちょっとでも躊躇していたら入れられてたんかなと思う。

 直後、頬は痛かったけど「打撲したかな」くらいの感覚だった。過去に眼窩底(がんかてい)っていう目の下の骨を折ったことがあったけどそれとは違ったし、鼻も折れていなかった。ピッチに立っている間は骨折しているという認識はなく、残り時間もゴールマウスを守った。ただ、どこからなのか血が出てきて(笑)、レントゲンを撮ったら折れていた(左頬骨骨折)。結果的に全治約1か月のケガになって、直後の代表招集も見送られたのは残念だったけど、しょうがない。あの局面でゴールを守るうえでは最善の判断だった。今回に限らず、試合中に負傷しても重傷だと気づかないことが多いかもしれない。代償はあったものの、初のPKストップで手応えをつかんだので、今後はどんどん止めていきたい。



第10節 清水戦

 1本目、鄭大世選手のシュートは至近距離だったけど、しっかりと止まって対応できた。でも、左足に当てたボールがちょうどチアゴ・アウベス選手の前にこぼれて、連続でシュートを打たれてしまった。2本目のシュートスピードも速かったけど、反射的に左手を伸ばして当てることができた。立て続けにシュートを打ち込まれても、慌てずに相手を見ることができればこうして対応できる。逆に、自分の中で少しでも慌てて対応が遅れると、“間”ができてしまっていいセーブができない。一つひとつの局面での対応は、状況を見た“準備”が重要になってくる。その状況で次に何が起こりうるか、瞬時に何パターンか考える。それで、実際に起きたことが想定内であれば冷静に対応することができる。

 この場面のようにGKが前に出ていってDFがゴールを守るような形は極力減らしたい。前提としてDFにはシュートを打つ人にプレッシャーをかけてほしい。それができへんかったときはこういう形になるけど、もちろんゴールライン付近でクリアしてくれるのは助かるし、誰かがコースを消してくれないと広いゴールを守りきれない。試合中の局面で守備陣が瞬時に同じ意図を持って追い込んだり、コースを切ったりできるのは理想的。ただ、普段この想定で練習をすることはない。試合でいきなり直面するのでいつも難しく感じる。



第17節 仙台戦

第20節 甲府戦

 この2試合はミドルシュートのセーブ。仙台戦は三田選手のシュートに対していいポジションをとって、いいステップができたことがすべて。動きすぎてもあかんし、ポジショニングがベストだったかな。ボールに当てたのは指先。しっかりと指先に力が伝わるような飛び方ができたことでセーブにつながった。

 甲府戦の松橋選手のシュートは最初にポジションをとってから、シュートが選手に当たってコースが変わったので、一回ステップを踏み直している。いいステップから、指先に力が伝わるように一直線のジャンプができた。全身を目一杯伸ばして左手の指先に当てる、イメージ通りのセービングができたと思う。





番外編 2015年11月28日のチャンピオンシップ準決勝浦和戦(3-1延長)

 忘れられない神セーブといえば、丹羽選手(現広島)のバックパスがあわやオウンゴールという場面。「バックパスが来るな」とは思ったけど、俺がゴールエリアの前に出ている状態で、丹羽選手のバックパスが頭上を越えるような浮き球でゴールに向かってきた(笑)。「エッ、浮いたで!?浮いてる浮いてる!」みたいな感じやったけど、あの瞬間はしっかり集中できていた。左ポストに当たるコースが読めて、「入りはせーへん」と思ったから、戻りながら足でいった。ポストに当たったボールを蹴り出して、そこからカウンターで劇的な勝ち越しゴールにつながったので、その意味でも忘れられないセーブ。丹羽選手は「ごめんごめん!」とは言っていたけど、「あれから点入ったからオッケーやろ!」と“あの調子”で、特に反省してる様子でもなかったかな(笑)。


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