県内の基幹産業である「ものづくり」を支える人材育成を推進するため、信州大工学部(長野市)と県工科短大(上田市)、県南信工科短大(南箕輪村)は、包括的な交流を目的とした連携協定を結んだ。

 文部科学省が所管する信大と、厚生労働省所管の工科短大が協定を結ぶのは、県内では初めて。両工科短大の所属学生が、信大の授業を履修し単位を修得できる「単位互換」などの交流も進める。

 県工科短大は、平成7年の開校から約1600人の高度な技能を持った実践技術者を県内の製造業に送り出し、過去5年間の就職率は100%。それでも、優秀な人材は不足しているとして、県は28年4月、南信工科短大を開校した。同工科短大では、来春初めての卒業生が巣立つが、すでに大半の学生が就職を決めているという。

 協定は、学生教育と学術研究、地域連携を柱にしており、両工科短大の学生が信大工学部の授業を受けて単位取得を可能とすることなどを決めた。将来的には、学生の編入を視野に入れているという。ただ、現時点では、所管省庁が異なり不可能なため、今後、制度改正を国に働きかけていく考えだ。

 協定で両工科短大側は、信大側の学術研究に触れることで、学生の学習意欲が向上することを期待している。教員間の交流を活発化させ研究・開発の促進にもつなげたい意向だ。元信大工学部長の大石修治・南信工科短大校長は「学生の向上意欲は高く、相互が刺激しあうことによって、県内の製造業をより振興させたい」と話す。

 一方、信大工学部の半田志郎学部長は「『ものづくり』の実践技術は工科短大の方が進んでいる」として、両工科短大が所有する高性能な産業機械を利用できることが最大の効用だと指摘した。

 3者は近く、学部長と校長による連携協議会を設置し、交流内容を不断に検証するとともに、より幅広い連携のあり方を模索していく。半田氏は「県内の産業界に人材育成で協力したい」と、協定の成果を具体化させることに意欲を示している。(太田浩信)