「上田の郷」の本気丼。ボリュームたっぷりながら価格は税込み1000円。地場産の食材にこだわっている=新潟県南魚沼市長崎

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 ■顔もほころぶコシヒカリざんまい

 日本を代表するコメの産地、新潟県南魚沼市で食のイベント「本気丼(まじどん)」が繰り広げられている。

 ブランド米「南魚沼産コシヒカリ」を思う存分味わってほしいと企画され、3年目の今回は市内の49店舗が参加し、合わせて55種類の丼が本気丼という共通名で提供されている。このうち「上田の郷」と「味の店 京」の2店舗を訪ね、コシヒカリざんまいに挑んだ。

 高速道を使って新潟市から車を約2時間走らせると夏は登山客、冬はスキー客でにぎわう越後三山(八海山、越後駒ケ岳、中ノ岳)を望む南魚沼に着いた。

 最初に向かったのは、あふれんばかりの天ぷらを器に盛った天丼が評判を呼んでいるという上田の郷だ。

 早速注文すると、噂に違わぬボリュームの丼が運ばれてきた。きつね色にこんがりと揚がった天ぷらは、香りと相まって食欲を刺激する。自家栽培のカボチャや大葉、インゲンなどの天ぷらは、さくさくとした食感でクセがなく、ご飯を口に運ぶ手が止まらない。

 調理担当の貝瀬ゆかりさん(43)は「『目でもおなかがいっぱいになるように』という気持ちで作ったので、本気丼を食べて笑顔になってほしい」。コメだけでなく野菜も地場産にこだわった料理を満喫し、思わず顔がほころんだ。上田の郷では農業などの体験教室を開いたり、自家栽培のコメも販売している。

 続いて足を運んだ京は、郷土料理「きりざい丼」が看板メニューの一つ。野沢菜や、たくあんなどと納豆を混ぜ合わせた「きりざい」がご飯を彩る。

 きりざい丼を食べるのは初めての体験。納豆のネバネバ感と細かく切られた野菜のシャキシャキ感が絶妙なバランスで、コシヒカリの甘みとマッチする。ピリッと辛い神楽南蛮がアクセントとなり、ほどよく味を引き締める。

 同店の代表、南雲勇路さん(48)によると、きりざい丼の発祥は、戦国時代の武士が合戦前に腹ごしらえをした食べ物にさかのぼるという。

 豪雪地帯の南魚沼では、野菜を漬物などにして保存食とし、貴重なタンパク源となる納豆を混ぜて食べる習慣が古くから受け継がれてきた。南雲さんは、きりざいで町おこしを目指す有志の団体「南魚沼きりざいDE愛隊」の副隊長を務める。「子供たちに故郷への愛着を持ってほしい」と、小学校での講演などを通じて普及に努めている。

 7月中旬に始まったイベントは11月30日まで続く。市商工観光課によると、昨年は約5万4500食の本気丼が市内外の人たちの胃袋に収まり、約6460万円を売り上げた。今月中には、2年前からの累計で10万食に達する見込みだ。

 市内の田んぼでは稲穂が頭を垂れ、刈り入れ時は近い。「天高く馬肥ゆる秋」と故事にあるように、南魚沼の秋の味覚を1人でも多くの人に堪能してほしい。(新潟支局 太田泰)

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 ■味の店 京 新潟県南魚沼市六日町2252。不定休。営業時間は午前11時半〜午後2時、同5〜11時。きりざい丼だけでなく、すしや一品料理も充実している。(電)025・773・6606。

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 ■上田の郷 同市長崎2970の1。水曜休み。近くで採れる野菜やコシヒカリ、粉から自前で作ったそばなど自家製にこだわった料理を提供している。(電)025・782・1197。