スパーズで新たなチャレンジをスタートさせたジョレンテ。気づけば“あの時”のポチェティーノと同じ年齢になった。(C)Getty Images

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 ほぼチェルシー移籍で決まりかけていたという。それが急転直下の展開を見せたのが、8月31日の移籍期限最終日。スウォンジー・シティのFWフェルナンド・ジョレンテは西ロンドンへは向かわず、北ロンドンの強豪トッテナム・ホットスパーのオファーに応えたのだ。
 
 32歳の元スペイン代表ストライカーは、その日の様子をこう振り返った。
 
「チェルシーとアントニオ(コンテ監督)がずっと俺のことを追ってくれてたのは真実だ。彼とはユーベでもいい関係を築けていたけど……。本当に最後のタイミングだった。あの人物から直接電話がかかってきたんだ」
 
 声の主は、スパーズ(トッテナムの愛称)のマウリシオ・ポチェティーノ監督だったという。
 
「立ちどころに魅了されたよ。彼のビジョンが明確だったし、トッテナムの近未来に向けたプロジェクトについても説明してくれたんだけど、心の底から感銘を受けた。すぐにイメージできたんだ、スパーズでプレーする自分が。ともに歩んでいきたいと、そう思わせてくれた」
 
 ジョレンテとポチェティーノは不思議な縁で結ばれている。バスクの名門アスレティック・ビルバオで英才教育を施された若きジョレンテが、19歳でプロデビューを飾った試合だ。本拠地サン・マメスに迎えたのはエスパニョール。その守備を統率し、荒削りな若きストライカーにプロの洗礼を浴びせたのが、32歳のポチェティーノだった。2005年1月、引き分けに終わったゲームだ。
 
「いまでもよく覚えているよ。サン・マメスでのデビュー戦だったからね。一方で彼(ポチェティーノ)はキャリアの最終盤だったかな。ピッチ上のすべてをコントロールしていて、すごい存在感だったよ。その後エスパニョールの監督となってからも何度か戦ったし、ことあるごとに話をさせてもらってきた。ずっと尊敬していたよ。それがいまでは、マウリシオの指揮下でプレーしてるんだから不思議なものだね」
 
 怪我のためスウォンジーのプレシーズンキャンプに帯同できず、コンディション調整に苦心している。水曜日のチャンピオンズ・リーグ開幕戦、ボルシア・ドルトムント戦でスパーズデビューを飾ったが、まだ本調子には程遠い。
 
「少しずつだね。焦らずフィットさせていくよ。いいリズムで取り組めているからね。本当にスパーズは面白い連中ばかりで、明るい雰囲気がなによりもいい。ひとつでも多くのゴールを決めて、タイトル奪取に貢献したい」
 
 単なるハリー・ケインの“影”にはとどまらない、歴戦のターゲットマン。スウォンジーに支払った1200万ポンド(約18億万円)という買い取り額が、その期待値を示している。
 
 そして心酔するアルゼンチン人指揮官は、こんなメッセージを送って、ジョレンテのモチベーションを駆り立てるのだ。
 
「フェルナンドが彼のキャリアで培ってきた経験と闘争心は、野心的なチャレンジを続ける我々に不可欠なものだ。きっと違いを見せてくれると、そう信じているよ」