『SLEEP』(ショーン・スティーブンソン:著、花塚 恵:訳/ダイヤモンド社)

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 仕事で結果を出したいと思っているビジネスパーソンは、寝る間を惜しんでがむしゃらに働く人が多いと思います。ビジネス書や自己啓発書を読んで、効率のよい仕事の進め方や考え方を勉強している人もいるかもしれません。ダイエットは、カロリーコントロールと運動がポイントだといわれているので、低カロリーで栄養バランスの整った食事をすることを心がけ、有酸素運動を取り入れている人がほとんどのはず。それでも、なかなか思うような効果を実感できず、もっとストイックにやらなければいけないのではないかと、自分の意志の弱さを嘆いてしまう。

 この二つに共通して欠けている視点は「睡眠」です。寝ること=怠けているというイメージを刷り込まれている私たちは、寝るなんてとんでもない! そんなヒマがあったら、仕事をしたり、レジャーを楽しんだりして過ごしたい。ただでさえ時間が足りないのに! そう思う人も多いことでしょう。でも『SLEEP』(ショーン・スティーブンソン:著、花塚 恵:訳/ダイヤモンド社)を読めば、その考えは変わるかもしれません。私たちは人生の約3分の1を寝て過ごしているというのに、この部分をあまりに軽く考えすぎています。睡眠の質を高めれば、仕事では最高のパフォーマンスを作り出すことができるし、理想のプロポーションを手に入れられると知ったら、どうでしょうか。

 なぜ睡眠がカギになるのかというと、ホルモンバランスをいい状態に保つには睡眠が欠かせないから。ホルモン? それって女性に関係のある話? そう思ってホルモンをなめていると、将来高いツケを払うことになります。怖いのは、仕事やダイエットがうまくいかないだけでなく、睡眠不足が慢性化すると将来ガンや心疾患、アルツハイマーなどの病気にもかかりやすくなることです。最近では、遺伝子を調べると将来かかる可能性のある病気が分かるようになっています。しかし、遺伝子ですべてが決まってしまうわけではありません。私たちの体はライフスタイルや、取り巻く環境、その時々の選択によって作られています。ライフスタイルはホルモン分泌に大きな影響を与える要素。中でも、一日の中でもかなりのウエートを占める睡眠の質を高めてホルモンバランスを整えれば、いろんなことがうまくいくようになるし、将来病気にかかるリスクも低くなるということなのです。

 睡眠は時間ではなく質が大切だというのが著者の主張です。日本人の平均睡眠時間は7.7時間といわれていますが、6時間未満の人も年々増える傾向にあります。同じ6時間寝るのでも、22時から4時までの6時間と、1時から7時までの6時間では睡眠の質にはかなりの差があることを知っていましたか。6時間ぐっすり眠るには、寝るときの姿勢やパジャマ選びは大切なポイントです。呼吸法や瞑想法、マッサージを取り入れることも見逃せません。本書に書かれていた具体的な安眠のコツを一つ見てみましょう。

 現代人に今やもっとも身近なツールとなっている、スマホ。パソコンがなくても手軽にニュースやSNSをチェックできるので、肌身離さず持ち歩いている人も多いのではないでしょうか。それでも、睡眠に関していえばスマホはNGです。枕元にスマホを持ち込んでアラーム代わりに使っている人は、今日からやめましょう。スマホが睡眠の質を下げてしまう大きな原因の一つはブルーライト。ブルーライトを浴びると、交感神経が刺激されてなかなか寝付けなくなるだけでなく、眠りが浅くなってしまいます。また、スマホが発する電磁波もホルモンバランスを乱す原因になります。ぐっすり眠るためにはスマホはリビングに置いて、寝室には持ち込まないのが正解です。

 本書を読むと、どうすれば安眠できるかが徹底的に分かります。すでに眠りに何らかの問題を抱えている人は、よく眠れない原因は何か、自分のライフスタイルを見直すきっかけになるでしょう。効率的に睡眠を取りたいと考えている人は、まずは、寝る時間をスケジュールに組み込むことから始めてみてはいかがでしょうか。

 この本の原題は『Sleep Smarter』。
“自分にいちばん有利な状況をつくりだし、自分が本心から望む人生を歩めるだけの健康を手に入れる”のに、きっと何かしらの手助けをしてくれます。

文=いづづえり