最近、銀座のコリドー街がにぎわっている。いい意味で銀座らしからぬフランクさがあり、夜な夜な多くの男女が訪れているのだ。

しかし、ちょっと騒がしすぎて…と感じる向きには、コリドー街近辺の小道や路地裏、ビルの上層階に潜む名店の数々をご紹介しよう。

喧騒からすっと離れて大人の時間が過ごせる、銀座の遊び場へご案内しよう。



注文後に、およそ2kgの塊から丁寧にスプーンで削いで盛り付ける「本まぐろの中おち」¥1,080
本物の大人のための名店
素材を生かした頷く旨さ『魚河岸 佃喜知』

創業40年、2008年に現在の場所に移転した。71歳になった初代小林次寛氏が引退し、現在は2代目の娘夫婦が切り盛りする。

毎日、経木に手書きされるお品書きは、刺身、焼物、煮物、酢物、揚物など50種類以上。その最初を飾るのが、自慢の「本まぐろの中おち」だ。上質なものを安く提供できるのは、長年の付き合いがあるからこそ。

昔からの常連のほか、ここの料理の虜になった女性のひとり客も多い。



甘辛い味付けで、ふっくらと煮込んだ「いわしごぼう煮」¥864。梅干しの酸味がたまらない。



しっぽり大人が飲める、静謐な雰囲気が漂う。アルコールは、ビールのほかに、日本酒や焼酎、ウイスキーをそろえる




古書とボトルが同居する店内。間口氏の人柄と相まって昭和の雰囲気を醸し出す。
ハイボールを片手に話が弾む大人の社交場
『銀座ROCK FISH』

銀座にありながら、全国のハイボールフリークを虜にする『ロックフィッシュ』は「通らずしてハイボールは語れない」とまで噂される有名店。

入手困難な復刻版の角瓶を使ったこだわりの一杯を求め、多くのファンが通い詰める。



竹中缶詰のオイルサーディン。後のせの山椒の実がアクセント

ハイボールの他にも、希少な缶詰をアレンジしたおつまみなど、語りどころが多い店だけに、ついついうんちくを披露したくなるところ。

しかし、オーナーの間口一就氏は「ここではそれをやらないのが格好良い。うんちくを語ると、浅い人物に見えてしまいます」とバーでの流儀を教えてくれた。



ウィスキー、ソーダ、グラスをキンキンに冷やして作る名物のハイボール

ハイボールで食前の乾杯をした後は、お互いのことをゆっくりと語らうのがシックな過ごし方。

昭和の雰囲気の香るこの店が、その時間を洒脱に演出してくれる。




大野の前菜盛り合わせ¥2,160〜
ワインと正統派日本料理のマリアージュ
『日本料理 銀座 大野』

銀座コリドー街の袋小路の奥に佇む一軒家。素材を生かしつつ、手をかけた料理は、どれも鮮やかに印象に残る。ワインリストにはマニアックなものから五大シャトーのものまで揃っており、正統派の日本料理とのマリアージュが楽しめる。

正統派の懐石料理はもちろん、20:30からは新鮮な魚介や、素材の持ち味を生かした温・冷菜、鍋物などもアラカルトで楽しめる。

フランスや沖縄など、様々な土地で料理を追究してきた料理長の大野敏彦氏が編み出す逸品の数々には、ソムリエでもある丸山大輔店長厳選のワインをぜひ。オザミグループ唯一の和食店として、自然派ワインを約250種揃えているのだ。

和食にワインを合わせたいなら、この店が最もおすすめである。


ビルの上に潜む名店に注目!



「旬野菜盛り合わせ〜八寸〜」は、プリフィックスコース(¥5,800)からの一例。シャンパンやフランスを中心とした120種以上のワイン、日本酒、焼酎計5杯をペアリング(60ml¥2,700、120ml¥5,400)
和の優しさ感じるフレンチを完璧なペアリングコースで
『チェナクルーム』

2015年12月に誕生したビルの最上階に位置する『チェナクルーム』。

ガラス張りの店内から、銀座の街並みや通過する列車、国会議事堂のライトアップを望むことができる。



店内

ベースはフレンチだが、和食の要素を加えた繊細なテイストの料理が印象的。宮崎県産の尾崎牛や、三浦半島で朝収穫された無農薬野菜など食材にもこだわり、オリジナルオーダーした有田焼の器で提供する。

選択肢も充実のプリフィックスコースに加え、料理に合わせた5杯のペアリングもぜひ。




大きな炭が煌々と燃え、丁寧に素材を焼き上げる
季節の訪れを感じる食材を赤々と燃える炭火で焼き上げる
『炭割烹 北野』

無数の飲食店が軒を連ねるコリドー街で、うっかり見逃してしまいそうな看板だけを頼りに2階へ。狭い階段を上ると、喧騒を忘れる上品な空間が広がる。個室も完備し、接待にもデートにももってこいだ。

焼き鳥の名店『鳥よし』の主人が3〜4年前から構想していた新業態で、その名の通り、割烹の上質な料理に炭を使った調理をふんだんに取り入れている。

開放感あふれるカウンター内の厨房には立派な焼き台が鎮座し、その様子もまたごちそうだ。



炭焼きは、伊豆港から直送する地きんめ、雪うるい、新ジャガイモなど



揚げ物は、花蓮根はさみ揚げとあわび、たらの芽。いずれも「おまかせコース」(¥10,800)からの一例



煮物は、わらびや天豆のつや煮を添えた若竹煮 ※メニューは旬変わり



いつ足を運んでも、その時期の旬の美味しさが楽しめる名店だ




手前右から、12日熟成の大トロ、3日熟成のヒラメ、4日熟成の小肌、海老、トリガイ、1週間熟成のカジキマグロ。酢飯は人肌。無類の鮨好きの山田氏は、自らもよく鮨屋を巡っているという
コースの半数を占める熟成鮨に職人技を感じる
『鮨処やまだ』

おまかせコース(¥10,800)で、白身や光り物、まぐろなど、およそ半分が熟成させた種で構成される。

「ひとりでやっているから成り立つ価格ですね」と店主の山田裕介氏が語る通り、銀座でこのレベルの握りがいただけるのは破格値だろう。

当然ながら予約は困難。だが、2回転目の21時前後が狙い目だ。日本酒のラインアップも目を見張るものがあり、魚同様に季節の変化を感じさせてくれる。



まぐろの様々な部位が並ぶ熟成用のネタケース。丁寧な仕事が垣間見える



大将の誠実な仕事が伝わってくるカウンター席だ


あのお蕎麦の名店でしっぽり呑むのもよし!



コロッケそば。見た目のかわいらしさも人気の理由。甘めで濃厚なツユとよく合う
名物の必食!コロッケそばよし田
『そば所 よし田』

明治18年創業のそば所。2016年の2月に7丁目から移転し、コリドー街そばへ。名物の「コロッケそば」¥1,050は、初代店主が発案したもの。

コロッケと言うが、鳥のミンチと山芋を合わせ、素揚げしたもの。やさしい味わいが特徴で、多くの人が注文する。蕎麦前を楽しんだ〆に食べたい銀座名物の一杯だ。



人気の玉子焼き¥800。ほのかに香るダシが上品




仏産トリュフが香るヒラメ。盛り付けのセンスも秀逸
伝統を継承しながらも既存の枠にとらわれない
『鮨 竜介』

塩昆布かと思いきや、香り高いトリュフが散らされたヒラメのつまみ。『鮨 竜介』では、鮨屋ではあまり見かけない食材も登場する。

「お客様が喜んでくれるなら、もっと自由でいいと思います」と語るのは、36歳で独立を果たした山根竜介氏。



右から、ツメと塩の穴子、トリガイ。芝海老のおぼろを挟んだ小肌。夜は、つまみ9品と13貫

トリュフのほか、キャビアやフォアグラといった食材もおまかせのコースのなかで、違和感なく供される。

もちろん握りも秀逸。赤酢と米酢の酢飯を種によって使い分けている。



店主の山根竜介氏。お店は地下にひっそりと佇む



銀座の寿司の注目株だ




二番出汁を使った、小柱とうすい豆の炊き込みごはん。おまかせコースからの一例
季節の移ろいを表現した身体に染み入る優しい味
『みな美』

思わず「ただいま」と扉を開けたくなるような、アットホームな和食店。そう感じるのは、店の雰囲気はもちろん、身体を気遣うような優しい料理の味わいから。

おまかせのコースは、ごはんがセットになった9品とおつまみ8品の2種類が基本。銀座らしからぬ値段設定に感謝。

土鍋で炊き上げるごはんは、季節ごとにアレンジを効かせた浅利、蟹、松茸などが登場し、それを目当てに訪れる常連も多い。



素材の旨みと甘みがたっぷり染み出した、新玉葱と蛤のスープ



しっぽりできるこじんまりした空間


わざわざ食べに行きたい逸品がある店はココ!



スペシャリテの一品。この他にも、バスクの郷土料理が多数揃う
美食の街バスクの味を銀座の路地裏で
『パイス バスコ』

銀座7丁目の路地裏に佇む、バスク料理のお店。バルのような外観が期待感を抱かせる。

バスクの三ツ星レストランでも腕を磨いた山田朋仙シェフが作り出す料理は、バスクの伝統を日本に伝えるもの。



お店はレンガ造りの一軒家。1階はバル風で、テラス席とオープンキッチンのカウンターがある。2階にはテーブル席もあり、デートやパーティーにも最適

メニューは約90種類。中でも、スペシャリテの「フォアグラ 穴子 果物のミルフィーユ仕立て」は、シェフが受け継いだ大切なレシピ。

バスク名物の微発砲ワインの「チャコリ」とともに楽しもう。




ひよこ豆と野菜のフライ「ファラフェル」、ひよこ豆とゴマのペースト「フムス」、栄養豊富なパセリのサラダ「タッブーリ」。料理は、ミシュミシュコースからの一例。追加オーダーで、チュニジア、レバノン、パレスチナなどの日本では珍しいワインを味わうことができるのもこの店ならでは
中東各国料理とリカーで異国情緒に酔いしれる
『ミシュミシュ』

中近東・アラブ・地中海料理の専門店。「ミシュミシュコース」(¥3,780)は、コース料理と、ピタパンの食べ放題、3時間の飲み放題がセットになったお得な内容。



店内

豪快な鶏の丸焼きのほか、羊やラクダのケバブなどを盛り込んだ豪快な一皿なども登場する。

しかも居酒屋価格(¥3,000前後が中心)というのも嬉しい限り。たっぷりと異国情緒に酔いしれることができる。




素揚げした桜海老の炊き込みごはん。他に、じゃこ山椒、卵かけごはんから選択できる
蟹、鮑、黒毛和牛etc. ごちそう尽くしの贅沢コース
『和食 ひまわり』

ひまわりが描かれた看板を目印に入店。金と銀の折敷が並ぶ席に着くと、カウンター内の厨房から、期待が高まる香りが漂ってくる。

まず供されるのは、インパクト抜群の毛蟹を丸ごと使った前菜。この後も、特別感溢れる食材を惜し気もなく使用した数々が供される。

おまかせコースのみ全7皿(¥12,000)。ベテラン職人である吉田直行氏の卓越した技と、女性オーナーの繊細な心遣いが心地いい。



流氷明けの毛蟹を使った逸品。器に見立てた甲羅の底には、蟹味噌がたっぷり



生雲丹を添えた鮑と黒毛和牛のサーロインの焼き物。田舎味噌と野菜で作る自家製味噌が決め手に