今では無料で相談できる「保険ショップ」も数多く、生命保険はより手軽なものになりつつあります。しかし、無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では著者のhirokiさんが、公的年金である「遺族年金」はかなり強力な保険として機能するので、これで足りない部分を民間保険で補う位が適切であると記しています。

生命保険等を考える場合はまず遺族年金がどのくらいの保障をしてくれるのかを把握しておく事が大切

よく、会社勤めをするようになると生命保険の加入が勧められ、なんだか内容がわからないまま何千万何億という保険に加入してないですか? 多分このくらいは要るよね〜みたいな漠然とした感覚? 保険の営業マンも出来るだけ高額商品を売りたい。

せっかく、強制加入の公的年金に加入せざるを得ないのに放ったらかしでついつい民間の保険に目が行きがちだと思います。まあ、民間企業は利益を追求しなければならないから、宣伝や営業をバンバン行って保険売らないといけませんもんね(^^;;。

でも、まず民間保険に入る前に公的年金がどのくらいの保障をしてくれるのかという事をちゃんと頭に入れておかなければなりません。そうしないと無駄に民間保険の保険料を支払ってしまう事になります。中でも公的年金の遺族年金は強力な保険です。なので、遺族年金を貰うようになったらどれくらい保障をしてくれるのかを考えてみましょう。というわけで事例(金額は平成29年度価額)。

ア.昭和40年9月13日生まれの夫(今は52歳)

この男性の年金記録。20歳になる昭和60年9月から昭和63年3月まで昼間学生として国民年金には加入せずに31ヶ月任意加入。この期間は未納期間ではなく老齢の年金受給資格に必要な10年以上の期間に含むカラ期間扱い。

● カラ期間とは?(まぐまぐニュース参考記事)

※注意

昼間学生が国民年金に強制加入になったのは平成3年4月から。なお、定時制や通信とか夜間学生は任意加入ではなくずっと強制加入だった。専門学校生は昭和61年4月から平成3年3月までが任意加入で加入してなかったならカラ期間になる。

昭和63(1988)年4月から平成16(2004)年7月までの196ヶ月は国民年金第1号被保険者として国民年金保険料納付済み。平成16年8月から平成30年1月までの162ヶ月は民間企業で厚生年金に加入。この間の給与と賞与の総額の平均額)平均標準報酬額)は450,000円とします。平成30年2月に厚生年金加入中に急病で亡くなる。

イ.昭和49年3月16日生まれの妻(今は43歳)

この妻の年金記録。20歳になる平成6(1994)年3月から平成12(2000)年7月までの77ヶ月は、国民年金保険料全額免除(平成21年3月までの全額免除は税金分の老齢基礎年金の3分の1に反映。4月以降は2分の1)。

平成12年8月に今の夫と婚姻し、平成16年7月までの48ヶ月は国民年金保険料納付済み(夫が妻の分も支払った。国民年金保険料は支払う本人だけでなく配偶者や世帯主も本人分を支払う義務がある。なお、本人の国民年金保険料を代わりに支払ったら社会保険料控除として自分の所得控除に使って所得税や住民税を安くできる)。

夫が平成16年8月に厚生年金に加入した事により、また妻自身も年収130万円未満だった為、夫の扶養に入って国民年金第3号被保険者となって国民年金保険料は支払わないが国民年金保険料納付済み扱い。

夫が死亡する平成30年2月の前月である平成30年1月までの162ヶ月が国民年金第3号被保険者だった。平成30年2月から60歳前月の平成46年2月までの193ヶ月は国民年金保険料納付済みとする。また、12歳と10歳と7歳の子あり。

さて、遺族年金はいくら支払われていつまで支払われるのか。ちなみに再婚しないものとします。遺族厚生年金に関しては終身年金ではありますが、再婚したら遺族年金は消滅しますからね^^;。その後離婚しても遺族年金は復活しないです(笑(。

● 遺族年金を貰う権利が無くなる場合(日本年金機構)

まず、この夫は死亡時に全体の年金期間はカラ期間31ヶ月+国民年金納付済み期間196ヶ月+厚生年金期間162ヶ月=389ヶ月有るので妻に遺族年金は支給される。ただ、厚生年金に加入中に死亡したので遺族厚生年金に関しては162ヶ月分ではなく300ヶ月で計算する。

遺族厚生年金額→(450,000円÷1000×5.481×162ヶ月)÷162ヶ月×300ヶ月÷4×3=554,951円

また、18歳年度末未満の子が居るので国民年金からは遺族基礎年金と子の加算金が支給される(これらは定額)。なぜ国民年金からも遺族給付がなされるかというと、20歳から60歳までの厚生年金期間中は同時に国民年金にも加入してるから。

遺族基礎年金額779,300円+子の加算金523,400円(←224,300円×2人分+3人目以降は74,800円)=1,302,700円

よって、妻に支給される遺族年金は

遺族厚生年金554,951円+遺族基礎年金779,300円+3人の子の加算金523,400円=1,857,651円(月額154,804円)

支給は死亡月の翌月の平成30年3月分から(死亡日が遺族年金の受給権発生日となる)。遺族年金は請求が遅れても3月まで遡って支給する(ただし過去最大5年分まで)。

その後、一番上の子が18歳年度末を迎えると、遺族年金の金額は1,857,651円から74,800円が引かれて1,782,851円となり、2番目の子が18歳年度末を迎えると1,782,851円から224,300円が引かれて1,558,551円となる。そして、末っ子が18歳年度末を迎えると1,558,551円から遺族基礎年金779,300円と子の加算金224,300円が消滅して遺族厚生年金554,951円のみとなる。夫死亡時に末っ子は7歳だったからそれから11年が経ち、妻は55歳あたりになっているものとする。

じゃあここからの妻への遺族厚生年金は554,951円だけかというと、そうではなくて中高齢寡婦加算という加算金584,500円が付く。よって、65歳までは

遺族厚生年金554,951円+中高齢寡婦加算584,500円=1,139,451円(月額94,954円)

で、最後に妻の65歳以降の年金額を算出。まず、65歳になると中高齢寡婦加算584,500円が消えて、今度は妻の老齢基礎年金の支給が始まる。

老齢基礎年金額→779,300円÷480ヶ月×(国民年金保険料納付済403ヶ月+全額免除期間77ヶ月÷3)=779,300円÷480ヶ月×428.666ヶ月=695,957円

よって、65歳以降の年金総額は

遺族厚生年金554,951円+老齢基礎年金695,957円=1,250,908円(月額104,242円)

となる。まあ…この妻が43歳から仮に90歳で亡くなるとしたら、遺族年金支給総額はザックリと65歳までは平均120万円とすれば、120万円×22年=2,640万円。65歳から遺族年金は55万円に減りますが、55万円×25年(65歳から90歳)=1,375万円。生涯で4,000万円の遺族年金を貰う事になりますね。ちなみに遺族年金の収入には税金はかからない。よって生命保険等の民間保険に入ってる、または、これから入る人は無駄に民間保険料を支払っていないか見直すのが大事ですね^_^。

※追記

この妻は77ヶ月国民年金保険料を全額免除しているため、老齢基礎年金額が少なくなっていますよね。一応、この妻の場合は60歳から65歳までの60ヶ月国民年金に任意加入が出来るので(最大でも480ヶ月になるまで)、もし老齢基礎年金を増やしたい場合は国民年金に任意加入するといいです。

60ヶ月国民年金保険料を納めた場合は、老齢基礎年金額は760,898円←(779,300円÷480ヶ月×463ヶ月+17ヶ月÷3)に増額する。

※注意

77ヶ月分の全額免除期間は任意加入60ヶ月分が押し出されて17ヶ月になる。

なお、国民年金保険料を支払ってる間は市役所に申し込んで付加年金保険料(月400円)も支払う事で更に年金を増やせる。ただし、厚生年金加入中や国民年金第3号被保険者、国民年金基金に加入してる人は付加年金加入不可。付加年金は200円×月数。60ヶ月付加保険料納めたら200円×60ヶ月=12,000円(年額)になる。

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出典元:まぐまぐニュース!