日馬富士(左)は阿武咲にはたき込みで敗れる=飯塚晋一撮影

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(14日、大相撲秋場所5日目)

 「あー、くそっ!」

 日馬富士が荒れた。支度部屋の風呂で叫ぶ声が、外まで響いた。壁を殴ったような「ドンッ」という音も、2度聞こえた。ただ一人出場する横綱が3日連続で金星を与えてしまった。秋場所は荒れっぱなしだ。

 風呂から出てくると一転、日馬富士はさっぱりした顔をしていた。横綱初挑戦だった21歳の阿武咲について、「勝った方が強いわけですから」とたたえ、柔らかくほほえんだ。

 「足がついていかなかったね。相手は見えてましたけど」。立ち合いで左の上手を狙ったが、中に入れない。構わず寄りにいくと、相手は土俵づたいに右に回り込む。追いつめようと焦って、上半身だけで突っ込んだ。つんのめったところを狙って頭をはたかれ、前方宙返りで1回転。「(ファンに)申し訳ない」。ため息が止まらなかった。

 14例目の3日連続金星配給という不名誉な記録を作り、在位30場所目にして横綱での負け数が歴代ワースト6位の大鵬(在位58場所)、千代の山(32場所)と並ぶ103に。古傷の両ひじが芳しくなく、この日の朝もストレッチだけ。それでも好転しなかった。

 国技館から伊勢ケ浜部屋に戻った横綱は第一声、「休場します」。報道陣がざわめくと、「それを期待して来てくれたのに、申し訳ない」。満身創痍(そうい)の横綱は「しぶとくとります。頑張ります」と言って帰っていった。(菅沼遼)