水原希子さん(2015年撮影)

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サントリービールの「ザ・プレミアム・モルツ」公式ツイッターアカウントが、モデルで女優の水原希子さん(26)が出演するCM動画を紹介したところ、投稿のリプライ(返信)欄に人種差別的なコメントが相次ぐ事態となった。

「エセ日本人がcmしてる」「偽日本人か。ビールが不味くなる」――。これらは、今回寄せられたコメントの一部だ。米国人の父と在日韓国人の母の間に生まれた水原さんの「出自」を差別するような投稿が、リプライ欄に数多く寄せられているのだ。

「なんなのこの差別発言の数々...」

騒動の発端となったのは、「ザ・プレミアム・モルツ」公式アカウントが2017年9月7日に投稿したツイートだ。これは、水原さんが出演するウェブCM動画を掲載し、プレゼントの当選キャンペーンを告知する内容だ。

このCMで水原さんは、焼き立てのステーキをつまみながらビールを飲み、「お肉とプレモル、ご褒美だなあ」とつぶやく。もちろん、自らのルーツをうかがわせるような場面は一切ない。

だが、この動画が掲載された告知ツイートに対し、水原さんの出自を差別するようなリプライが寄せられることになった。例えば、

「エセ日本人がcmしてるから買いません」
「反日モデルをつかうとは、やるねサントリー」
「なんだ?偽日本人か。ビールが不味くなる!」

といった具合だ。一方、差別的な声に対し「なんなのこの差別発言の数々...」「ヘイトコメントがひどい」などと反発するコメントも数多く出ており、投稿のリプライ欄は紛糾した状況になっている。

水原さんは16年7月、中国の動画サイト「秒拍(ミャオパイ)」で公開した動画の中で、米国人の父と在日韓国人の母をもつことを告白。生まれたのは米国で、2歳から日本で暮らしてきた。本名はオードリー・希子・ダニエルという。

こうした自らのルーツには、本人も悩んできたようだ。16年10月14日放送の「アナザースカイ」(日本テレビ系)に出演した際に水原さんは、米国人と韓国人のハーフとして生まれ日本で育つ中で、「自分の存在が恥ずかしいと思うこともあった」と吐露。その上で、

「色んな差別が本当になくなればいいって心の底から願っている。私が強く生きている姿勢を見せて行かなきゃいけない」

との思いを語っていた。

サントリー「残念に思っております」

今回、プレミアムモルツの告知ツイートに差別的な投稿が寄せられたことを問題視しているのは、一般のユーザーだけではない。水原さんに対し差別的な声を寄せるユーザーを強く非難する著名人も出ているのだ。

元TBSアナウンサーでタレントの小島慶子さん(45)は12日、今回の騒動をまとめた記事のURLを添えて「本当にひどい。なぜ放置なのか...」とツイート。また、ジャーナリストの津田大介さんも同日に「常軌を逸してる」と呟いたほか、ロックバンド「ソウル・フラワー・ユニオン」もバンドの公式アカウントで、

「何故これを放置する?(略)ネトウヨ、ほんまクズやな」

と非難の言葉を送っていた。

こうした動きについて、サントリー広報部の担当者は9月14日のJ-CASTニュースの取材に、

「今回の当社の投稿に対して、ツイッター上でキャンペーン趣旨とは異なるコメントが多くついている事態を残念に思っております」

とコメント。また、投稿の削除をツイッター社に申請するなどの対応を取っているか、という記者の質問に対しては、「現時点ではお答えできない」とした。

ただ、サントリーの担当者によれば、一部の差別的な投稿をツイッター社側が削除していることは確認できているという。

なお、ツイッター社の「ヘイト投稿」への対応をめぐっては、ツイッタージャパン本社(東京・中央区)前で9月8日、一部の市民団体が「差別ツイート野放しやめて」などと主張する抗議活動が行われたばかり。

J-CASTニュースは14日、ツイッタージャパン社に対し、(1)水原さんに対する差別ツイートは削除しているか(2)先日の抗議活動に代表されるように、ヘイト投稿に対するツイッター社の対応を「不十分だ」とする意見もあるが、どう受け止めているか――の2点を質問したが、同日18時30分までに回答はなかった。