『仕事の生産性が上がる トヨタの習慣』(OJTソリューションズ/KADOKAWA)

写真拡大

 日本が誇る世界有数の自動車メーカー・トヨタ。同社独自の生産方式を表す「ジャスト・イン・タイム」「自動化」「かんばん方式」「改善」といったキーワードが国内のみならず、海外にも広く知れ渡っているのは有名な話である。

 そして、その生産現場には様々なカタチでの“「付加価値」を生むしくみ”が取り入れられており、そんな同社による仕事上の様々なメソッドを紹介する一冊『仕事の生産性が上がる トヨタの習慣』(OJTソリューションズ/KADOKAWA)の電子書籍が9月14日に配信された。

 本書に掲載されたメソッドの数々は、モノづくりの現場に限らず「どんな業界、会社でも活用できる普遍性のある原理・原則」であるという。

◎作業前に付加価値を生むモノと生まないモノ、ムダを見きわめる

 仕事には様々な作業があるが、トヨタでは作業を開始する前に「3つに分ける」ことで付加価値を生むモノと生まないモノ、そして、ムダなモノを見きわめる習慣があるという。

 付加価値を生む作業は「正味作業」と呼ばれ、生産現場でいえば材料や製品を加工する、オフィスワークでは企画書を実際に作るなどの工程が含まれる。一方で、付加価値を生まなくとも必要不可欠な作業は「付随作業」と呼び、生産ラインでの梱包や部品を取り出すといった作業、オフィスでの企画書作りのための下調べなどが当てはまる。

 さらに、肝心なのは仕事上で「7つのムダ」を見つけること。

(1)つくりすぎのムダ
(2)手持ちのムダ
(3)運搬のムダ
(4)加工のムダ
(5)在庫のムダ
(6)動作のムダ
(7)不良・手直しのムダ

 これらの「ムダ」はもちろん一例となるが、どのような現場であれ何よりも大切なのは“時間”である。実際の作業へ入る前に、効率化を図るため身の回りの環境を見つめ直してみよう。

◎スケジュール管理では「やり仕舞い」を意識するのがポイント

 実際に作業へ入ってからは、スケジュール管理も欠かせない。多くの仕事には何をいつまでに完了させるかという期限がつきものだが、トヨタではスケジュールの効率化を図るために「やり仕舞い」というキーワードでの社員教育を徹底しているという。

 やり仕舞いとは、期限を決めて、キリのいいところで仕事を完了させることを示す。その上でまず意識すべきなのは、仕事に関わる人たち同士で具体的なスケジュールを共有するということ。例えば、「なるべく早く」などの曖昧な表現は避けて、「何を、いつまでに完了させるか」と具体的な数字で表すのも一つの方法である。

 そして、明確な期限が決まったあとは“今日できること”を進めていく。完了までに8つの工程が必要なのであれば「今日は18時までに3つ目の工程まで終わらせてから帰宅する」といったように意識すれば、一つの作業に対する負担も少なくなり、生産性を高められるはずだ。

◎職場の問題点を改善するには常に「自分の仕事を疑う」のが大切

 仕事には慣れもつきものである。毎日のように同じ仕事を続けていると“こんなものでいいや”という気持ちが芽生えてきたりもするが、常に「自分の仕事のやり方を疑う」ことが必要だと本書は示す。

 例えば、完成品にクレームが入った場合、トヨタでは複数の部署から意見をくみ取るという。工程をさかのぼって問題を探り、改善につなげていく。自分たちにとって「最善の方法」だと考えていても、他部署からの「このやり方では困る」「もっとこうしてほしい」という意見が加われば、異なる視点から問題点が浮かび上がるというわけだ。

 本書は「常に自分の仕事のやり方を疑うことで、職場の問題に気づき、改善につなげることができます」と訴えるが、例えば、環境に慣れていない新入社員や異動してきた社員に、新鮮な目で意見を出してもらうのも一つの方法である。

 トヨタが日本を代表する自動車メーカーであるのは、誰もが納得することだろう。その背景には、現場レベルで“付加価値”を生むメソッドが浸透しているのが本書からも伝わるが、読者それぞれの仕事や職場でもぜひ活かしてもらいたい。

文=カネコシュウヘイ