『夕映え天使』(浅田次郎/新潮社)

写真拡大

 歴史小説から現代小説まで幅広く執筆し、多くの読者を魅了し続けている作家・浅田次郎。2017年9月15日(金)に西田敏行主演で、浅田次郎ドラマスペシャル『琥珀』(テレビ東京)が放送される。これまでも、浅田次郎と西田敏行のゴールデンコンビは、『角筈にて』(1999年)、『天国までの百マイル』(2001年)、『ラブ・レター』(2003年)、そして『シューシャインボーイ』(2010年)と、高く評価されてきた。

 今作は、西田敏行、寺尾聰、鈴木京香が豪華初タッグを組むことで、より一層注目を集めている。西田と寺尾は同じ作品に出演したことはあるが、意外にも一緒に芝居をするのは今作が初めて。テレビ東京のオフィシャルサイト上にふたりのコメントが寄せられている。

寺尾さんとは、お互い同じ作品に出てはいるのですが、顔を合わせてちゃんと演り合うということはなかったので、今回は「念願叶った!」って感じですね。喫茶店のカウンター越しでのやり取りだけで、僕の想像を超える“過去に何かを持ってる男”という感じがにじみ出ていて…。その横顔を見ているだけで涙が出てきたシーンもありました。やはり、いい役者と一緒にやってると楽しいですね!(西田敏行)
(西田さんは)僕の中で非常に興味深い俳優だったので、どこかで一度!と思っていたことがあり、やっと実現した、そんな嬉しい気持ちで撮影に臨めました。(寺尾聰)

 同年齢の俳優同士、お互いにいい刺激を受けたようだ。

 原作は浅田次郎の短編集『夕映え天使』(浅田次郎/新潮社)に収録されている『琥珀』。主役はもうじき定年を迎える冴えない中年刑事の米田。長年連れ添った妻の再婚、年下の上司からは厄介者扱い、そして娘からの哀れみ…。家庭にも、職場にも居場所がなくなり、定年までの十数日間、旅に出ることに。そして、たどり着いた雪国で、ある一軒の喫茶店に入る。そこには、寂しげな眼差しのマスターがコーヒーを淹れていた。二人が出会うことで物語が静かに動き出すのだか…。

 マスターのある告白により、ふたりのこころの闇が重なり合っていく。理屈だけでは片付けられない、こころの奥底に流れる感情。「正義」とは、「贖罪」とは…。偶然の出会いによって翻弄される人のこころの移ろいを丁寧に描いた作品だ。

 ドラマの脚本は、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』を手がけている岡田惠和が担当。原作にはない新たな登場人物、幸子(鈴木京香)によって、より濃密な人間関係が繰り広げられることを期待したい。TVドラマとあわせて、原作本を読み返してみてはいかがだろうか。

文=丸川美喜