映画『スーパーマン』でクリストファー・リーヴが着用したコスチューム。米ロサンゼルスの競売会社プロファイルズ・イン・ヒストリーにて(2012年7月19日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】倒すべき悪党は、もはや惑星を破壊する地球外生命体や邪悪な天才大富豪ではない―― 米DCコミック(DC Comics)のスーパーヒーロー「スーパーマン(Superman)」が最新作で担うのは、必死に働く移民たちを白人至上主義者から守るという任務だ。

 スーパーマンは、その活躍を1938年から掲載してきた米漫画雑誌「アクション・コミックス(Action Comics)」最新号で、失業中の工場労働者が移民たちを殺そうとするのを直前で阻止する。

 悪役の工場労働者は、青い作業着に米国旗色のバンダナを巻き、口ひげをたくわえた姿をしている。いずれも、貧しいブルーカラー層の米国人の典型的特徴だ。銃を手にしたこの工場労働者は、ベールを被った女性たちを脅し、仕事を奪ったとヒスパニック系の労働者たちを非難する。

「お前らは低賃金で働く。英語を話せないから言い返すことも、給料を上げてくれと要求することすらできない。お前らのせいで俺は仕事を失った! 生計を奪われたんだ! だから……お前らが償え!」

 工場労働者が発砲したまさにその瞬間、スーパーマンが間に割って入って銃弾を胸ではじき返し、移民たちの窮地を救う。そしてスーパーマンは、白人至上主義を掲げる工場労働者に「君の魂を絞め殺している闇の責任を取れるのは、君だけだ」と語る。

 実はスーパーマンも移民だ。惑星クリプトン(Krypton)で生まれた異星人で本名を「カル=エル(Kal-El)」といい、赤ん坊のころに地球に送られて、米中西部カンザス(Kansas)州の米国人夫妻に育てられたという設定だ。

 アメコミでは、今まさに起きている社会問題や論争を題材に取り上げることがよくある。DCコミックは昨年、「Superman: American Alien(スーパーマン:米国の異邦人)」と題したシリーズを刊行し、スーパーマンも地球での新しい生活と、本来のカル=エルとしての自分との折り合いをつけるのに苦労したエピソードを描いた。

 スーパーマン原作者のジェリー・シーゲル(Jerry Siegel)氏とジョー・シャスター(Joe Shuster)氏も欧州から米国に移住してきたユダヤ人の子孫で、スーパーマンの物語は米国で平和と繁栄を求める1930年代の欧州移民の闘いがモチーフとなっている。
【翻訳編集】AFPBB News