(写真提供:「横田基地の撤去を求める西多摩の会」)
 
日本の上空を、なぜ米軍は、飛行ルートも通知せず、これほど好き勝手に飛び回ることができるのか。前出の矢部さんは、その理由を、「在日米軍は、日本の航空法を守らなくていいからだ」と指摘する。
 
日本の航空法(施行規約第174条)には、人口密集地では高度300メートル以上、その他の地域では高度150メートル以上での飛行するよう定めている。にもかかわらず、前出の環境レビュー(前編参照)付属文書には、オスプレイの昼間の低空飛行高度は約60メートルで行うと記載されているのだ。
 
「米軍が日本の航空法を守らなくてよい根拠は、日本が戦後、アメリカと締結した新日米安全保障条約の裏で、日本に不利な“日米地位協定”を結ばされたからです。この協定の第2条1項によって、事実上、米軍は日本国内のどこの基地にでも配備でき、その基地を拠点に自由に軍事行動(戦争や演習)ができます。逆に、東京の横田基地上空(一都8県)には、在日米軍が管轄する広大な専用空域があり、首都圏では日本の民間機が自由な飛行を制約されているのです」(矢部宏治さん)
 
さらに深刻なのは、事故が起きた場合だ。事故現場の処理がすべて終わるまで、日本側の関係者は誰も立ち入れないのだという(※2)。
 
「04年に米軍のヘリが沖縄国際大学に墜落したときも、墜落現場の周辺は米軍が黄色いロープを張って立ち入りを規制。知事も市長も外務官僚も入ることができず、米軍の許可が出たときのみ日本の警察が入れる程度。事故原因の究明に必要な証拠物は、米軍の財産ということで、すべて米軍が持ち帰り、日本側に手渡されることはありませんでした」(矢部さん)
 
オスプレイの事故に住民が巻き込まれても、日本人がどうにもできない事態が考えられる。
 

 
政府は、「米軍の運用に関することであり、現時点で、米国政府との間において事前に(訓練やルートを)通告することを義務づけることは考えていない」(平成28年11月1日臨時国会・衆議院受領答弁 第81号)という姿勢だ。
 
今後、日本への配備は増える予定だ。米空軍所属のものが20年までに横田基地に10機、陸上自衛隊が取得費千811億円を投じて購入するものが佐賀空港に17機。現在、普天間基地配備の24機と合わせて、計51機が日本全土を飛行することになる。
 
矢部さんは最後にこう語った。
 
「米軍機はアメリカの住宅の上では、絶対に低空飛行しません。人間だけでなく、コウモリなどの野生動物の住処や遺跡などの上も保護のために飛びません。オスプレイの飛行によって悪影響が出るという環境評価が米国内で出ていて、低空飛行禁止だからです」
 
危険だというデータがありながら、住民が暮らす上空も低空飛行しているオスプレイ。大惨事を起こす前に歯止めが必要なのでないか。
 
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(※2)日米合同委員会の公式議事録 部分 一九五三年九月二九日)による。