iPhoneは10年間でどう変わったか。「電話を再発明」した初代、日本初登場だった3GとiPhone Xを比較


スティーブ・ジョブズが初代iPhoneを発表したのは2007年1月のことでした。それまでにもスマートフォンと呼ばれる携帯電話は存在したものの、iPhoneの登場がいわゆる "ケータイ" から "スマートフォン" へと市場の変化を促したことは言うまでもありません。この記事では、初代iPhone、そして日本で初めて発売されたiPhone 3Gと、10周年記念モデルとして登場したiPhone Xを見比べてみました。

2007年 初代iPhone


初代iPhoneは、2007年1月10日のMacworld 2007で発表されました。この日、スティーブ・ジョブズは「電話を再発明する」として「電話」「インターネット通信機器」そして「iPod」をひとつにまとめ、ハードウェアキーボードをなくしたまったく新しい電話を我々に示しました。

前面にあるのはホームボタンひとつ、あとはほぼ(当時としては)大きなディスプレイだけというそのデザインは、非常に未来的に見えました。ディスプレイには当時は一般的でなかったマルチタッチパネルを採用し、グラフィカルなUIが指先の動きに合わせて滑らかにスクロールしたり拡大縮小するさまは、それまでの携帯電話やPDAを使っていた人たちに衝撃を与えたはずです。

ジョブズは3つの先進的センサーとして加速度、近接、照度というの3つセンサーを紹介。さらに、加速度センサーでiPhoneの向きによって画面の縦横を切り替え、近接センサーが電話で話すときにタッチスクリーンを無効化し、照度センサーは環境に応じて画面の明るさを自動調節すると説明しました。そのしくみは、それ以後のスマートフォンの基本になっています。


2008年 iPhone 3G


なお初代iPhoneは日本では発売されませんでした。しかしアップルは2008年のWWDCで3G通信が可能なiPhone 3Gを発表し、日本でも2008年7月11日からソフトバンクが国内販売を開始。初代iPhoneからその先進性に興味を持ち、iPhone 3Gを手にするためにソフトバンクに乗り換えたという人も多かったはずです。iPhone 3Gのストレージ容量は8GBと16GBの2種類が用意されました。

iPhone 3Gは当時の高速回線である3Gネットワークへの対応が初代との大きな差。また初代iPhoneでは当初ビルトインアプリしか用意されませんでしたが、iPhone OS 2.0を搭載するiPhone 3Gの登場とともにApp Storeがオープンし、開発者がiPhone向けに自由にアプリを開発、販売できる環境が整えられました。

ただ、iPhone 3Gにはスクリーンにホコリが入ってしまったり、iPodと同じ30pinドックコネクターの角にひび割れが入ってしまう問題もありました。

2009〜2016年


初代iPhone発売から10年のあいだに、iPhoneは様々な変化を遂げてきました。たとえばiPhone 4 がRetinaディスプレイを採用して液晶の解像度が飛躍的に向上し、iPhone 4Sが搭載したiOS 5では、音声AIアシスタントのSiriが登場しました。

iPhone 5ではディスプレイサイズがそれまでの3.5インチから4インチへと拡大するとともに、iPodと共通だった30pinドックコネクタをLightningコネクターへと変更。iPhone 6ではさらに4.7インチへ画面が大きくなる一方、5.5インチフルHDディスプレイを搭載するiPhone 6 Plusが登場しました。そしてiPhone 7 ではカメラ機能を大幅に強化し、Plusモデルでは背面カメラを広角と望遠の組み合わせでデュアル化、光学ズーム機能を搭載しました。また3.5mmイヤホン端子が姿を消したことが大きな話題となりました。、

2017年 iPhone X


10年目の節目に登場したiPhone Xの特徴は、初代iPhoneからずっと変わらなかった正面の基本的なデザインを変更、ほぼ全面を覆うサイズのOLEDディスプレイを採用したことで、慣れ親しんできたホームボタンを廃止しました。また、ホームボタンに内蔵していた指紋認証機構のTouch IDは、ユーザーの顔を3Dスキャンして認証するFace IDに置き換えられています。

背面カメラはiPhone 7のデュアルカメラが横配列だったのに対し、iPhone Xでは縦配列に。そしてQi対応のワイヤレス充電機能を搭載したほか、背面はiPhone 4s以来のガラス製になりました。

初代iPhoneiPhone 3G、iPhone Xの仕様



iPhone X

iPhone 3G

iPhone出荷時OSiOS 11iPhone OS 2.0OS X iPhone(iPhone OS 1.0)プロセッサA11 Bionic +

ニューラルエンジン

M11モーションコプロセッサARM 1176JZ(F)-SARM 1176JZ(F)-Sディスプレイ5.8インチSuper Retina HD

OLED Multi Touch

True Tone ディスプレイ

1000000:1(標準)

最大輝度 625cd/m2 (標準)

広色域対応(P3)3.5インチTFT LCD3.5インチTFT LCD画面機能3D Touchマルチタッチ対応マルチタッチ対応画面解像度2436 x 1125320 x 480320 x 480PPI458163163生体認証Face ID

(Apple Pay対応)--ストレージ64 / 256GB8 / 16GB4 / 8GB (16GB:2008年)背面カメラ12MP iSightカメラ x2

広角:f1.8

望遠:f2.4

光学手ぶれ補正

クアッドLED True Toneフラッシュとスローシンクロ

光学ズーム

10倍デジタルズーム

ポートレートライティング(ベータ版)2MP カメラ2MP カメラ動画撮影4K:24/30/60fps

1080p:30/60fps

720p:30fps非対応非対応前面カメラ7MP True Depthカメラ

ポートレートモード

ポートレートライティング(ベータ版)

Retina Flash

広色域キャプチャ

自動手ぶれ補正--WiFi802.11a/b/g/n/ac802.11b/g802.11b/gBluetooth5.02.02.0NFCリーダーモード対応FeliCa対応--位置情報Assisted GPS、GLONASS、Galileo、QZSS

デジタルコンパスA-GPS /デジタルコンパスデジタルコンパスセンサー3軸ジャイロ/加速度

/近接/環境光/気圧3軸ジャイロ/加速度

/近接/環境光3軸ジャイロ/加速度

/近接/環境光防水防塵IP67(耐塵防浸型)--本体色シルバー、スペースグレイブラック/ホワイトシルバーバッテリー通話 21時間

インターネット通信 最大12時間

ワイヤレス動画再生 最大13時間

ワイヤレス音楽再生 最大60時間

30分で最大50%充電2G通話 10時間

3G通話 8時間

データ通信 6時間

音楽再生 24時間

動画再生 7時間

連続待受 300時間2G通話 8時間

データ通信 6時間

音楽再生 24時間

動画再生 7時間

連続待受 250時間重量174g133g135g寸法143.6 x 70.9 x 7.7mm115.5 x 62.1 x 12.3mm115 x 61 x 11.6mm税別価格(SIMフリー版)

64GB 11万2800円

256GB 12万9800円(ソフトバンク発売時)

8GB

一括 6万9120円

実質 2万3040円

256GB

一括 8万640円

実質 3万4560円日本発売なし

4GB 499ドル

(当時レート約6万円)

8GB 599ドル

(当時レート約7万円)

ちなみに...


2007〜2008年のiPhone以外の携帯電話市場は今から思えばガラケー最盛期といえる時期でした。携帯メーカー各社が次々と個性的な携帯電話を出していた時期で、その多くは折りたたみ式。しかし一部スライド式も人気を集めていました。よく売れていたのはパナソニックのP904iやP905i(ドコモ)、シャープのW52SH(au)などで、テレビやデジカメ機能を強化してブランド名を冠したWoooケータイやEXILIMケータイなども発売されていました。

なかでも異彩を放ったのはシャープが発売した913SH TYPE-CHARこと「シャア専用ケータイ」。これは充電台がシャア専用ザクの頭部になっているという、マニア垂涎のモデルでした。また、折りたたみ式携帯電話がロボットに変形する「フォンブレイバー」ケータイ Softbank 815T PBも2008年に発売されています。こちらは当時放送していた特撮ドラマ「ケータイ捜査官7」に登場するキャラクターを実物化したものでした。