by Patrik Nygren

21万5000人分のDNAを調べ800万件の突然変異の追跡を行うという大規模な調査によって、人類は寿命を短くしうる有害な遺伝子変異を淘汰していっているらしいことがわかりました。

Identifying genetic variants that affect viability in large cohorts

http://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.2002458



Massive genetic study shows how humans are evolving : Nature News & Comment

http://www.nature.com/news/massive-genetic-study-shows-how-humans-are-evolving-1.22565

Yes, humans are still evolving. Here's how you can tell. | Popular Science

http://www.popsci.com/humans-are-still-evolving

研究を行ったのは、コロンビア大学の進化生物学者・Hakhamanesh Mostafavi氏らのチームで、人類が1〜2世代でどのように進化しているのかということを調べる数少ない試みだったとのこと。

「長命である」ことは必ずしも種族を繁栄させることとは一致せず、重要なのは成人するまで生き残って、子孫を少しでも多く残すという点にあります。この視点から考えると、若いうちに致命的な効果を発揮するような突然変異はやがて淘汰されていくというのは自然の成り行きであると理解できる一方で、子孫を残すために適した年齢を過ぎてから効果を発揮する有害な突然変異は、種族の繁栄とは一致せず、淘汰の対象にはならないとも考えられます。

Mostafavi氏らは、ある遺伝子変異が生存に影響を及ぼすような有害なものなのであれば、その変異体を持つ人々は持たない人々に比べて高い割合で早く亡くなるため、高齢の集団の中ではあまりみられなくなるのではないかと考えました。

研究で見えてきたことの1つが、アルツハイマー病に強く関連があるとみられているApoE遺伝子の変異体が、70代以上の女性にはほとんどみられなかったこと。アルツハイマー病は、一般的には子どもを作る年齢で発症するものではないので、関連する変異体は淘汰の対象ではないと考えられてきましたが、実際にはそうではなかったということです。同様に、ぜんそく・高コレステロール・高BMI・冠動脈疾患になりやすいと考えられる遺伝子を持っている人も減っていて、ヘビースモーカーになることと関連があると考えられているCHRNA3遺伝子の突然変異についても、変異体を持たない人の方が長生きしているということがわかりました。

こうした結果を、Mastafavi氏らは、こうした遺伝子変異も子どもに対して何らかの形で影響を与えるものだったので淘汰されつつあると考えているとのこと。

一方で、長命な人々には、思春期の到来と出産が遅くなる変化の傾向も見られたとのこと。以前から、出産時期の高齢化と長寿との関係は指摘されていましたが、「富」と「教育」の効果が加味されたものだったため、そうした要因を抜きにした今回の研究結果はとても素晴らしいものだと、遺伝学者のJonathan Pritchard氏は語っています。