子供を産ませる前に考えてほしい事

愛犬の子供がどうしてもほしいと思ったら、最初に考えてほしい事があります。元々犬は安産な生き物です。でも現代の人に好まれる形に作り出された犬達は自力での出産が困難な場合や奇形などの危険もあります。

品種改良による難産

人の手によって作り出された犬種がいます。例えばブルドッグです。戦う為にいろいろな犬種を掛け合わせあの姿になりました。その為、ブルドッグの出産方法はほぼ帝王切開による出産になります。自力で産む事が出来ません。ブルドッグだけではありません。小さい犬を求める流行りから体が小さく骨盤が小さい為、子犬の頭よりも骨盤が小さく自力で産む事が出来ない犬が多くいます。また出産に耐えれるほどの力もなく、りきむ力もない為分娩の際介助してあげないと産めなかったり、帝王切開による出産となります。

もし帝王切開になったら

もし愛犬が自力で産む事が出来ないと解ったら、帝王切開による出産となります。全身麻酔をかけお腹をあけ子供を取り出します。細心の注意を払い手術を行いますが、100%安全とはいえません。以前子犬の心音が聞こえず、急いで帝王切開を行なった事がありました。しかし、お腹をあけたら子宮が破れており子犬はお腹の中で死んでいました。お母さん犬もかなり危険な状態になり、数日の入院で回復しましたが、一時は危ない状態までいきました。
それにもし帝王切開になった場合、自力出産と違い費用がかかります。病院によって違いますが、もし夜間に手術になった場合費用はかなり高額になります。夜間に帝王切開となるとスタッフの数もいるし、手術も大変です。決して安い金額ではないと覚えておいてください。

無事に産まれても

母犬が本能から子犬を殺してしまう事もあります。育ちの悪い子犬は他の子犬を育てる為に育児放棄や食べてしまう事もあります。また出産の痛みからパニックになり、子犬を襲う母犬もいます。大型犬の場合、体の大きなお母さんに踏まれてしまい亡くなる事もあるので無事に産まれても安心は出来ません。
それに生まれてくる子全てが健康な子犬とは限りません。生まれてすぐ亡くなる子もいますし、無事に育っても心臓に異常があり生きていくためにはずっと治療が必要になる子もいます。体の奇形から脚が不自由になる子もいますし、口の中に穴が開いていてうまくミルクが飲めない口蓋裂という奇形や、鎖肛という肛門が開いていない子など全ての子犬が健康体とは限りません。

遺伝病

純血種の場合、犬種特有の病気もあります。母犬や父犬に何も今は異常がなくても、その上の世代おじいちゃん犬に異常がある場合もあるので絶対に安心とはいえません。以前愛犬を出産させ、その後知り合いに子犬を譲った飼い主さんがいました。その後遺伝病が見つかりトラブルになった事がありました。結局病気が見つかった犬を飼い主さんが引き取り治療続けられています。

最後に

悪い事ばかり書きましたが、私が動物病院で働いていて全て起こった出来事です。産まれたばかりの子犬に奇形が見つかり安楽死をした事もあります。その時に嫌がる子犬を押さえる私は子犬に謝るしか出来ず「次産まれてくると時は元気な姿で産まれておいで。」そう願うしか出来ません。産後亡くなった母犬も何頭かみてきました。その時に思うのは、出産は簡単な事ではないという事です。以前仕事をしながら愛犬の出産をさせた飼い主さんがいました。「仕事中に出産したら心配だから預かってほしい」と言われ、病院では落ち着かないのでお家のほうがいいとお話ししたら、まだ出産の時期ではないのに「じゃあ今日仕事が休みだから帝王切開してほしい」と言われた事がありました。正直その飼い主さんに対して憤りを感じました。出産を簡単に考えてほしくないと思います。出産はとても感動的なものです。それが愛する我が子の子供だとしたら感動は倍になります。
でももし難産だったら。子育てしなかったら。子犬に奇形や病気があったら。
育てられますか?
愛犬の出産について考える前に、こんな事も起こる事があるという事を覚えておいてほしいと思います。