人口減少と超高速時代の経営モデルとは?(写真:den-sen / PIXTA)

日本の人口は2005年の1億2729人をピークに人口は毎年減少を続けています。そして、36年後の2053年には1億人を割ると、この4月(2017年)、国立社会保障・人口問題研究所が公表しました。これから36年で、現在1370万人の東京23区2つ分の人口が日本から消える勘定になります。

年々人口が減り続け、とりわけ購買力のある人口の減少が大きいということが、すでにいろいろなところで論じられています。36年先の話だからと聞き流していると、経営は徐々に衰退の道を歩むだろうと思います。

フェイスブックの友人が「ウサギはカメを見た。カメはゴールを見た」という言葉を紹介してくれましたが、まさに「人無遠慮、必有近憂(人、遠き慮りなければ、必ず近き憂い有り)」ということになるでしょう。

国内市場の規模が急縮小する


この連載の一覧はこちら

人口減少によって、国内市場の規模が縮小します。とりわけ14歳から64歳までの人口は、現在の約7500万人から2500万人も減少します。それだけ購買力のある人たちが減少するということです。国内市場を対象に経営をしている会社は、今から経営の仕方をしっかりと考えて対応していくことが必要です。

そういうことで多くの識者、経営者が、これからの経営、これからの商売ということについて、いろいろな考えを述べていますが、ここでは人口減少と超高速時代の経営モデルとして、3つの経営モデルを述べてみたいと思います。

まず1つめは「コラボ経営」です。

縮小する国内市場を前提に考えると、「1を2にして活用すること」を考えてみてもいいのではないかと思います。

「1を2にする」とは、「1人のお客を2回、お客になっていただくこと」、あるいは「1カ所を1日2回、別々の会社が使用すること」です。

これは「コラボ経営」というもので、たとえばコンビニのファミリーマートとカラオケの第一興商がコラボして併設店舗を経営している例があります。カラオケでの食べ物や飲み物をコンビニで買えば、カラオケの使用料金を割り引く。また、カラオケの部屋には、コンビニで買えるメニューを置いておく。カラオケの部屋から電話で連絡があれば、コンビニで用意して届けることができるわけです。

これは理髪店にも応用可能です。隣にコーヒーショップを経営し、理髪店内で客を待たせるのではなく、コーヒーショップで待ってもらう。コーヒー代は無料にして理髪店が負担する。理髪店内に待ち合い場所は不要になるため、それだけ理髪店の店内は広くできます。

あるいは、オフィスを借りる場合には昼間だけ使用する会社が、夜には別の会社にフロアを貸す、ということも考えられるでしょう。9時から18時まで使用し、夜8時から翌朝5時まで別の会社が使うといったことです。それが可能かどうかは別として、とにかくこのような「1を2にする経営」「コラボ経営」を柔軟に考えるべきでしょう。

現在の事業をどう変身させるか

もう一つが「変身経営」です。今の事業をどのように続けるかを考えるだけでなく、今の経営をどう変身させるか、そしてどう将来に焦点を合わせて発展的に事業を考えていくか、を考える必要があるわけです。

これは、もうすでにたくさんの企業が実行し、成果を上げています。たとえば、このところ、大いに宣伝されている寝具マットメーカーのエアウィーヴの例があります。もともと釣り糸メーカーであった会社を引き継いだ若い社長が、釣り糸では厳しいと判断。そこで考えた結果、釣り糸をそのまま丸めるようにまとめ、マット状に固めたそうです。

そして寝具マットにして売り出した。彼のマーケティングも巧みでしたが、あっという間に寝具マットのトップメーカーとなり、一流ホテル、一流旅館、あるいは、飛行機のファーストクラスなどに採用されるようになりました。余談になりますが、この会社の商品マークは、釣り糸をまとめたデザインになっています。

釣り糸という事業を、釣り糸のままでなんとかしようというのではなく、釣り糸を活用しながら、寝具マットに事業内容を変身させた社長さんのセンスには驚嘆しますが、まさに「変身経営」そのものです。

この「変身経営」は大企業でも可能です。たとえば、富士フイルム。一時は写真撮影用のフイルムや印画紙といえば、コダック、コニカ(さくら)、富士フイルムの3社で寡占されていましたが、デジタルカメラやスマートフォンの登場によって、コダックもコニカも独立した企業ではなくなりました。

にもかかわらず富士フイルムだけは、生き残るだけでなく、大いに発展成長をしています。富士フイルムが、危機感の中から考え出した新規事業のひとつが、化粧品でした。

なぜ化粧品なのかというと、もともとあの薄いフイルムは数枚の層でできているということですが、その数枚の層を重ね合わせる「糊」がコラーゲン。その作業をする人たちの手がどんどんときれいになる。ということで、これは化粧品を考えてみよう。それが、フイルム会社が化粧品をつくるキッカケだったそうです。いまや全社の売り上げに占める割合は25%にも及んでいます。

しかし、富士フイルムはそこにとどまらず、製薬事業の強化にも取り組んでいます。富山化学工業などを実質的に買収し、総合ヘルスケア企業への変身を目指しているのです。もちろん「変身経営」は、以前から、多くの会社が試みて、成功しています。

これからの「地殻大変動の時代」を考えると、「変身経営」をつねに心掛けておく必要があると思います。

「駆逐艦経営」とは?

3つ目が「駆逐艦経営」です。「変身経営」を円滑に実行、実践するための経営戦略が、駆逐艦経営です。いわゆる「大艦巨砲経営」ではなく、規模拡大を抑える経営をする。それによって「目が覚めたら風景が激変している時代」に即対応できる機敏さを確保する。そして、いたずらに「規模の経営」を求めないようにするべきなのです。

今までは、規模の大きいところが、大企業でした。売り上げ、従業員数、資本金の大きさ、本社、事業場の大きさなどが、その要件でした。しかし、これからは、「1人当たりの利益」を物差しにするべきでしょう。大きいけれど、赤字経営だとすれば、それは独活(うど)の大木、「岩石企業」にすぎません。従来の物差しからすれば小企業かもしれませんが、新しい「1人当たり利益」の物差しを使えば、圧倒的に高い利益を上げる「ダイヤモンド企業」を目指す。そして、そのような会社こそが「大きい会社」ということです。

1万人の会社でも1人当たりの利益が小さい、あるいはマイナスの会社は、図体が大きいだけで「大企業」とはいわない。100人の会社でも、1人当たりの利益が、はるかに大きい会社は「大企業」、いわゆる「ダイヤモンド企業」というべきでしょう。

このような「駆逐艦経営」を実行している親しい友人の若い経営者は、5社を鵜匠のように巧みに操り、成長拡大をしています。またもう一人の若い経営者は3社を経営して大きな成功をしています。

「コラボ経営」「変身経営」「駆逐艦経営」。こうした切り口で自社の現在の事業を見直してみてはいかがでしょうか。