ハイスピードで墜ちていく2人(撮影・上原賢一)

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 うわべばかりで中身なし。そんな人だから、「架空」にまつわる疑惑の連鎖はまさにお似合いといったところか。今井絵理子・参議院議員(33)の不倫パートナー、橋本健・元神戸市議(37)。辞職した後も疑惑の連続で、今度は歯科医としての「診療報酬」架空請求……。

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 愛する不倫相手の辞職の一方で、自らの「ビール券大量配布」疑惑が表に出た今井議員。本誌(「週刊新潮」)の取材だけでなく、後を追いかけた他のメディアに対しても未だ無言を貫いたままである。

 9月4日、その今井議員は、党本部で開かれた「北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部」の会合に出席していた。

 自民党関係者が言う。

「今井さんはうつむき加減で部屋に入り、一番隅っこの席に座っていました。隣には、昨年の参院選で初当選した同期の女性議員がいて、彼女と開始前まで談笑していましたね。出席したのは、100名くらいの議員。会合自体は、1時間半ほどでしたが、今井さんの発言はありませんでした」

ハイスピードで墜ちていく2人(撮影・上原賢一)

「仕事」をしているのは、まあ良い。しかし、公の場に出るのなら、まずは違法の「ビール券」問題について、きちんと説明してから、というのがスジであろう。

 関係者が続ける。

「会が終わり、部屋から出たところへ記者が駆け寄り、叱咤するように言葉をかけていました。今井さんは、“はい! わかりました! これからしっかり勉強していきます!”と」

 しかし現在、彼女の存在は、青息吐息の自民党にとって、ミサイルや核爆弾並みの脅威である。

橋本氏による架空請求の手口

 不倫相手の橋本元市議の政務活動費「架空発注」問題では、橋本氏が神戸地検に出頭し、すべての疑惑を認めた。

 そんな落下する彼のニュースを見て、

「“架空”と言えば、あいつは本業でも同じことに手を染めていましたよ」

 と更なる疑惑について述べるのは、橋本氏と親しい、兵庫県内の歯科医である。

 橋本氏は、大阪大学歯学部卒。市議として活動する一方で、12年には、市内で自ら院長を務める歯科医院をオープンさせたことは報じられている。しかし、友人の歯科医が続ける。

「あいつは自分の医院でも、診療報酬の架空請求をしていましたよ。本人がそう周りに話していましたから」

 その手口はごくごく一般的なやり方だったという。

 通常、歯科医師は、治療を終えた後、施した治療内容をカルテに書き込み、それを元に診療報酬を請求。患者から3割、保険者から7割を受け取る仕組みだ。

「普通、歯科医院の治療費なんて、患者の負担額はせいぜい1000円とか2000円でしょ。そこに、患者さんの負担額が数百円程度増えるだけの『治療』を乗っけるんです。やってもない『治療』ですが、患者さんも数百円増えただけでは気付かないし、ちょっと高いな、と思ってレセプトを見ても、専門的なことが書かれているので水増しがわからないんです」(同)

 橋本氏は、ある時、笑い交じりにこんなことを言っていたという。

「一度、過去に詰め物をした患者さんに対して、カルテ上、同じ歯に同じ詰め物をしたことにしてしまったことがあった。その時はホント、慌てましたね……」

自民党市議団にもいる“タダ受診者”

 歯科医が続ける。

「また、これも一般的な手法なのですが、自分の家族や友人が来た時、料金をタダにしてあげる。この場合、カルテにはやっていない治療も大幅に乗っけるんです。例えば、してもいないレントゲン検査を何回もやったことにして、診療報酬を請求するのです」

 程度の差こそあれ、歯医者の間では、よく囁かれるやり口だと言うが、こうした行為が「詐欺」に問われるのは言うまでもない。

「ハシケンの『友達診療費タダ』の話は、私も聞いたことがあります」

 と言葉を継ぐのは、神戸市の自民党関係者である。

「その友達の中には、神戸市の複数の市議会議員や、自民党関係者も交じっていました。彼らはほとんどハシケンに診察代を“奢って”もらっていましたよ。ある市議は、定期的に歯のクリーニングに行っては、タダでみてもらっていた、と。その後、連れ立っては呑みに行くことがルーティンになっていたそうです」

 自民党市議団は、今回の橋本氏の問題について、独自に調査をするとしている。しかし、その調査の中心メンバーにこうしたタダ受診者がいるから、厳しい調査を継続できるかはなはだ疑わしい。実際、中の1人にその点を糺すと、「アホなこと言うなよ!」と激高した。まともに疑問に答えようとしないところなどは、「お友達」の橋本氏とそっくりなのである。

「昔のハシケンはマジメで…」

 改めて橋本氏に、政務活動費と診療費の不正請求について事実確認の質問をしたが、応答は一切ないままだった。

 先の神戸市の党関係者は言う。

「ここまで疑惑がボコボコ出てくると信じてもらえないかもしれませんが、昔のハシケンはマジメでね。神戸のことを真夜中まで熱く語るような男だった。それが、政務活動費の詐取や不正請求をやり始めた頃から、何かが少しずつ狂い始めていったんでしょうね……」

 そのデタラメの極北が、今井議員とのよじれた関係だったということだろう。

 改めて思う。不倫の代償は、限りなく重かった。

「週刊新潮」2017年9月14日号 掲載