2016年10月、深刻な大気汚染に見舞われる北京。可視範囲は500メートル(ネット写真)

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 最新の研究論文によると、中国北部の住民は深刻な大気汚染の影響により、南部住民と比べて寿命が約3.1年短くなっている。寒い北部では、当局が暖房システム配給政策を実施しており、石炭燃料の暖房から排出される大気汚染物質が南部より多いためだという。

 米科学誌「米国科学アカデミー紀要」(PNAS)電子版は5日、米国、中国、イスラエルの共同研究チームによる大気汚染と人体への影響に関する研究論文を掲載。それによると、大量の石炭の燃焼で、北部における上空に浮遊する粒子状物質(PM)濃度は、南部と比べて46%高いという。

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 また、大気汚染が原因で、肺がんや脳卒中など呼吸器系や心臓の病気の発症率が高く、北部地域の住民の死亡率を押し上げているとした。

 中国当局は過去数十年間、淮河を境に北部の華北地域の住民に、冬季集中暖房システムを配給している。

 世界保健機関(WHO)は、人は大気汚染に長期間さらされ続ければ、健康を害し、寿命に大きな影響を及ぼすと指摘してきた。研究チームは、暖房システムのある中国北部と、同システムのない南部の大気汚染状況や住民の健康状態を比較。さらに、中国では戸籍政策により国民は自由に移動できないため、WHOの仮説を実証できたと主張している。

 同研究報告によると、大気中のPM10が平均で10マイクログラム増えるごとに、人間の寿命が平均で0.6年短縮する。

 中国当局は近年、深刻な大気汚染の対策として、汚染をもたらす企業を閉鎖したり、暖房システムの電気化を加速させたりしてきた。しかし、大きな改善はみられない。

 中国環境監測総站が15年に発表した注意喚起では、PM2.5濃度が大気の1立方メートル当たり100マイクログラムを超えると、人間の死亡率が38%上昇するとした。駐中米国大使館による北京市のPM2.5測定データによると、2016年、この基準を超えた日は195日あった。

(翻訳編集・張哲)