筑波大付属病院(つくば市)の医師が、リアルタイムで送信されてくる動画や音声を通じて、神栖済生会病院(神栖市)での循環器疾患の治療を指導する「遠隔治療サポート」の本格運用が19日から始まる。

 高度で迅速な処置が求められる治療を医師不足地域の病院でも提供できるようになり、地域医療の充実が期待されている。 (丸山将)

 治療に当たるのは、筑波大付属病院から神栖済生会病院に派遣されている循環器内科の専門医。筑波大付属病院の同科ベテラン医師がリアルタイムで送られてくる患者のX線画像を見ながら、画面にアドバイスなどを書き込めるタッチパネルなどを使って詳細な治療の指示を出す。

 今月1日から試験運用を開始し、5日には神栖済生会病院に搬送された急性心疾患の神栖市の女性(95)が遠隔治療を受け、一命を取り留めたという。

 神栖市内には心疾患の診察、治療に対応できる病院がほとんどなく、同市の急性心筋梗塞による死亡率は昨年度、全国平均の2倍以上高かった。また、同市を含む鹿行地域は、10万人当たりの医師数が全国ワースト2位の県内でも、特に医師不足が深刻で、医療サービスの質低下が懸念されている。そのため、同市では4月に神栖済生会病院と鹿島労災病院の統合再編案がまとめられるなど、医師不足解消や地域医療の充実に向けた対策を進めている。

 筑波大付属病院の青沼和隆教授は13日に開かれた記者会見で、遠隔治療サポートについて「医師不足の改善だけでなく、若手医師が地域の病院で高度な治療を学べるようになり、地域医療の活性化につながる」と意義を強調した。