親の精神年齢と子どもの精神年齢が同じか、親のほうが低いことも…(写真:プラナ / PIXTA)

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中学2年生の娘を持つ母親です。娘は素直で優しい子ですが、勉強のことになるとけんかになってしまいます。最近では私が勉強のことに触れると、「わかってる!」の一言。「わかってないから、言われるんでしょう!」と毎回けんかが始まってしまいます。本人は、戻ってきたテストの答案を見ては愕然とし、少しは反省しますが、また元に戻ります。それを注意しても、「私がいちばんわかってる!」と言います。塾は週2回行っていますが、それで勉強している気になっているのか、日々の勉強はほぼできていません。
最近ではけんかが増え、うまくコミニュケーションが取れていない気がします。私も言いすぎてしまうので……。言いすぎても駄目なのは理解していますが、言わなかったらさらにしないと思いますので、どうやる気を出させればいいのかわかりません。一人っ子でしたので、私が先走って世話を焼いてしまったのが駄目だったと思います。不安な毎日を過ごしていますので、よいアドバイスをお願い致します。
(仮名:小宮山さん)

子どもに対して教師のような対応をしていませんか?


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小宮山さんは、ご自分がされてきたこと、これまでの状況をよく分析されていますね。しかし、その状況分析ができたところで、何も変化がなく、ますます悪化してしまうという状況にイライラが募り、つらい毎日を過ごされていることでしょう。

もちろん、お子さんもつらい状況でしょうね。言われたくないことを言われ、コミュニケーションも円滑に進まない状況でしょうですから。

では、小宮山さんのご相談内容をもう少し分析してみましょう。

「勉強のことでけんかになってしまう」というお話ですが、通常は子どもが中学生ぐらいになると勉強のことでけんかになる確率は相当高いものです。多くの家庭でこのような状況が生まれています。理由は簡単です。「強制されたことは、やらないか、やったとしても面従腹背となる」が中学生以降は顕著に出てくるからです。

小学校の頃から、おそらく勉強に対して何かを言ってきた可能性あり、すると「言われる→言われたからやる」という構造ができ上がります。ところが、子どもが精神的に成長し、中学生ぐらいになると、「言われる→反発」に変わるのです。しかも親が勉強に関して、もともとネガティブ感情を持っていたりすると、ますますうまくいかなくなるのですね。

子どもの反発という反応を受けて、親はショックを受けることがよくあります。自分のやり方がまずいのではないかと感じることもなしに。しかし、小宮山さんは、客観的にご自身の対応について自覚されていますね。それにもかかわらず、また同じことをやってしまうのですね。要するに子どもへの対応方法が固定化され、習慣化されてしまっているために、その習慣から抜けることができなくなってしまっているのです。

それともう1つ重要なことがあります。それは次のことです。

「親は教師ではないし、家は学校ではない」

そんなことわかっている、と思われるでしょう。しかし、実際やっていることは、教師のような、学校のような対応であったりするのです。子どもにとって家は、憩いの場であり、親は親であり、教師ではないのですね。

「つい言いすぎてしまう」のは…

「最近ではけんかが増え、うまくコミュニケーションが取れていない気がします。私も言いすぎてしまうので……」

とコミュニケーションについて触れられています。コミュニケーションはあったほうが当然いいのですが、その内容自体が重要となります。楽しい会話であれば問題ないですが、どうも小宮山さんの場合はそうではないようです。

この小宮山さんのメッセージには実は重大なことが書かれているのがおわかりでしょうか。それは「私もつい言いすぎてしまう」というフレーズです。この部分が意味することは、「親の精神年齢と子どもの精神年齢が同じか、親のほうが低い」ということなのです。

「そんなことはない!」と思われるかもしれませんが、これまで3500人以上の親子と対面する中で、「親よりも子どものほうが、精神年齢が高い」というケースがいくつもありました。この事実を知ったときは驚愕しました。

しかも、これはレアケースではなく、意外と多いことがわかったのです。もちろんこれは、精神年齢テストをやったわけではなく、単なる私の実感なのですが、明らかに子どもは親を超えているという場合が少なからずあったのです。

親は、子どもより長く生きていますし、経験量も子どもの比ではありません。しかし精神年齢というものは、このような尺度とは関係なく、いわゆる“大人の対応”という鷹揚さという尺度のことです。つまり、落ち着いていて、冷静に相手の気持ちを理解できるという尺度です。

子どものほうが落ち着いて冷静に周りの様子がわかっていて、一方の親はイライラしていたり、周囲に当たることすらあります。そこまでいかずとも、「親子で言い合い」が頻繁に起こるという現象としても現れます。つまり、「親の一方的な強制→子どもは渋々やる」という小学校時代から一歩先に進み「親の一方的な強制→子どもの反発→親のさらなる反発」がループのように繰り返されるのです。

本来は年齢が高い側が、大人としての対応をしなければならないのに、同等のレベルで言い合いをする現象となってしまうのです。そこで、あらためてここで、重要な原則を知る必要があるのです。

「親は成長が止まっているが、子どもは成長していることを知る」

子どもは成長しているのです。変化しているのです。子どもが生意気になった、口答えしてきたという状況は子どもの成長であり、それはとても喜ばしいことなのです。

では、今後どのように対応していけばよいのでしょうか。次に解決策についてお話ししましょう。

一緒にいることと、信頼関係があることは別

解決策はいくつもありますが、ここでは最優先すべき解決策を1つ提示しましょう。それは親子の間での信頼関係の構築です。親子なのだから信頼関係はあると思っているかもしれませんが、同居をして日頃接していても、信頼関係があるかどうかは、また別のことです。信頼関係ができていれば、親の言うことが理解できます。もちろんそれが理にかなった内容である場合ですが。

さて、この信頼関係の構築ですが、どうすればいいかおわかりでしょうか。信頼関係の構築は、コミュニケーションの「量」と大きく関係します。

事実、信頼できる人とはコミュニケーションを多く取ることも多いでしょう。阿吽(あうん)の呼吸で言葉が少ないケースもあるかもしれません。しかし、自分とソリが合わない人や、できれば話したくない人とはコミュニケーションは取りませんね。ですからますます、信頼関係はなくなっていくのです。これは人対人だけでなく、国対国でも同じです。コミュニケーションがなくなれば、対立するのです。

日々顔を合わせる親子だからコミュニケーションは取っていると思われるかもしれませんね。しかし、コミュニケーションとはただ、話せばいいというものではありません。内容が重要なのです。これを間違えると、信頼関係は構築されません。

ではどのようなコミュニケーションを取ればいいのか、その例を挙げてみましょう。

(×)「勉強はどうなってるの?」
(×)「もうじきテストだよね」
(×)「最近やる気がないようね」
(×)「塾ではちゃんとやってるの?」

これらは、いずれもアウトです。親としては心配して言っているのでしょうが、言われる側の立場からすれば、いらぬ干渉なのです

「今、しっかりやっていないのに干渉するなとは何事か!」と思われるかもしれませんが、それが現実です。このように問われて気持ちよく答えるはずはありません。では、どのような声がけをしてコミュニケーションを取っていくのがいいかといえば、たとえば次のようなものです。

(○)「今日は雨が降るそうだね」
(○)「そういえば今日、面白い人に会ってね、○○だったのよ」
(○)「△ちゃん(子どもの名前)が好きな○○さんが今日、テレビでこんなこと言ってたよ」
(○)「最近は随分と事件が多いね〜。学校の行き帰り、変わったことなかった?」

勉強についての話題は事態を悪化させるだけ


これらは、どうでもいい話題です。特に話をしなくてもいい内容ばかりです。しかし、このような雑談めいたトピックのほうが、話がしやすいのです。

学校の話題でもいいのですが、小宮山さんのような状況ですと、子どもは親から勉強に干渉されることを極度に嫌がりますので、話題にしないほうがいいでしょう。

通常はコミュニケーションのテーマとして「勉強」を使ってしまうことが多いため、大失敗します。先ほども言いましたが、親は教師ではないのですから。勉強についてのコミュニケーションは事態を悪化させるだけになるので、子どもから話をしてくるまで親からは、テーマとして持ち出さないほうが無難です。

その代わりに、共通の話題である雑談をしましょう。先ほど出した例のように、雑談なのでテーマは何でもいいのです。内容の高度さは関係ありません。天気、街で会った知人の話、テレビの話題、ニュースの話題など、何でも構いません。できれば、子どもの関心があるテーマや楽しく面白い話題であれば、さらに親子の関係は向上していくことでしょう。