今年も秋刀魚は高級魚… アナウンサー押阪忍の『美しいことば』

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こんにちは、フリーアナウンサーの押阪忍です。

ご縁を頂きまして、『美しいことば』『残しておきたい日本語』をテーマに、連載をしております。宜しければ、シニアアナウンサーの『独り言』にお付き合いください。

今年の秋は、代表的な庶民の味、サンマが不漁ということで、各地の漁師さんは、「生活の糧(かて)にもならない」というニュースを何度も見聴きしました。

先日スーパーをのぞいてみましたが、1尾298円! 毎年この時季になると1尾150円程度になるころなのですが、サンマも今年は、大衆魚ではなく、料亭行きの高級魚になってしまいましたね。

「中国、台湾、韓国で先にゴッソリ獲るから日本は後回しになって、漁獲量はガタ落ちだぁ〜」と漁師さんは嘆いています。秋刀魚と書くだけに秋のサンマの味はどうしても忘れられませんよねぇ…。

銀色に輝き、DHA、EPAが豊富で誰もが愛するサンマ。私は塩焼きが一番と思っておりますが、何と料理研究家のレシピの数は500前後にものぼるようです。

寿司、蒲焼き、竜田揚げ、甘露煮、ケチャップ煮、照り焼き、丼ものなどなど、いかにサンマが庶民に愛されているかという証拠ですよね。塩焼きしか知らぬシニアにはオドロキです。

近代日本の詩人、作家である佐藤春夫が、有名な『秋刀魚の歌』を書いています。昭和の始め、塩焼きでしかなかった時代です。私ども熟年層は、最後の行をよく口ずさんだものです。

秋刀魚の歌

あはれ秋風よ
情(こころ)あらば伝へてよ

― ― 男ありて 今日の夕餉(ゆうげ)にひとりさんまを食(くら)いて 思いにふけると

   (中略)

さんま、さんま、
さんま苦いか 塩っぱいか

   (後略)

あ〜、脂ののった秋刀魚の塩焼きが食べたいなぁ…(笑)

<2017年9月>

フリーアナウンサー 押阪 忍

1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。1965年には民放テレビ初のフリーアナウンサーとなる。以降テレビやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典なども行う。2016年現在、アナウンサー生活58年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。