Apple Park Visitor Center - オープン前の外観をぐるりと一周すると・・・

アップルは米国時間9月12日に新社屋「Apple Park」で開催したイベントで、iPhone X、iPhone 8シリーズ、Apple Watch Series 3、Apple TV 4Kの新製品群を発表した。今回のイベントはiPhone10周年を記念する意味合いとともに、もう1つ、アップルにとっての節目となる出来事があった。

それは、Apple Park内にあるSteve Jobs Theaterでの初めてのイベント開催だったということだ。

再生可能エネルギー活用の一大拠点でもある


共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏が愛したカリフォルニアの自然を再現すべく、9000本の木が植えられたApple Park(筆者撮影)

Apple Parkは今年4月から使用を開始した新しいキャンパス(社屋)で、これまでのキャンパスと同じカリフォルニア州クパティーノ市内にある。1辺1.6キロメートル程度の正方形に近い土地に、直径450メートルの宇宙船と呼ばれる円盤状の社屋を含む施設が建ち並び、共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏が愛したカリフォルニアの自然を再現すべく、9000本の植樹を行い、17メガワット時(MWh)の発電能力と蓄電能力を誇る再生可能エネルギー活用の一大拠点としての役割も果たす。

今回のプレス向けイベントは、Apple Park、Steve Jobs Theater双方が使われた初めてのイベントだった。初公開となったシアターとその周辺、そして2017年中に一般公開される予定のApple Parkのビジターセンターについて、写真で見ていこう。


Steve Jobs Theaterのうち、地上に見えている部分は、ガラスの壁で囲まれた円形の空間だけ(筆者撮影)

Apple Parkの敷地のすぐ脇にあるビジターセンターは、Apple Storeとカフェの機能が用意されており、シリコンバレー観光拠点として期待される。ストアにはTシャツやトートバッグなどの限定オリジナルグッズが販売されるほか、すべての体験が可能なフルサイズのApple Storeが併設される。


ガラスの筒状のエレベーターは、地上階から地下階に降りるまでの間に180度回転する仕組み(筆者撮影)

またビジターセンターの展示スペースにはApple Parkの模型が用意されており、専用アプリをインストールしたiPadをかざすと、拡張現実でランドスケープ(景観)やエネルギー、風の流れなどを見ることができる。

今回取材陣は、ビジターセンター近くのエントランスからApple Park内に入り、5分ほど緩やかな丘を登って、Steve Jobs Theaterを目指した。

丘の途中には、広葉樹、針葉樹、そして草花が植えられている。これらはカリフォルニアの原風景を再現するというコンセプトがあるそうだ(https://www.youtube.com/watch?v=-OXi8XNH4Ck)。


ロビーの中は何もなく、ただ円形の空間だ(筆者撮影)

Steve Jobs Theaterのうち、地上に見えている部分は、ガラスの壁で囲まれた円形の空間だけ。柱はなく、ガラスだけで屋根を支える構造となっている。床材は白く光をよく反射する石材が利用されており、これはApple Storeの旗艦店で近年採用されているものと同じだ。

ロビーの中は何もなく、ただ円形の空間。ガラスの壁沿いに2つの階段と1つのエレベーターが用意されており、ここから地下に広がるホールへとアクセスすることができる。

ちなみに、ガラスの筒状のエレベーターは、地上階から地下階に降りるまでの間に180度回転する仕組みとなっていた(https://www.youtube.com/watch?v=LVdk6mXfjno)。

1000人収容のホール

地下に広がるSteve Jobs Theaterは、間口が広い1000人収容のホールだ。あとから知ることになるが、この広い間口は開演時には仕切られ、差し込む外光がシャットアウトされていた(https://www.youtube.com/watch?v=h1p79DQK4P4)。

1000人も座れるホールながら、傾斜がつけられており、コンパクトな印象が強い。ステージから扇形に広がるシートは手作りのレザーシート。ちょうどiPhoneケースのレザーをシートにしたためたような、そんな印象すらある。


1000人も座れるホールながら、傾斜がつけられており、コンパクトな印象が強い(筆者撮影)

筆者は今回のイベントでは、イベント中の写真撮影とタッチアンドトライ会場への移動のしやすさを考慮し、中央の最後列に座ったが、それでもイベントのステージは見やすく、またゆったりとした幅のシートは快適だった。

今回は世界中から集まったプレスに加え、選ばれた社員も着席し、1000人収容のホールが埋め尽くされた中で、ホールの名前にもなった共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏の意志を受け継ぐ思いが込められた新キャンパスが紹介された。

なお、今年4月から社員の引っ越しが始まっているが、まだすべての社員の引っ越しが完了しているわけではないという。

壁がなくなり「展示スペース」が現れた


展示スペースには多くの報道陣が一斉に押し寄せた(筆者撮影)

地上のロビーから地下に降りてきた際、ロビーの真下のスペースは、地上のガラスの壁と同じ弧を描く壁で仕切られていた。

しかしイベントが終了すると、その壁が取り払われており、新型のiPhoneを手に取ることができる展示スペースが現れていた。おそらく、可動式の壁が用意されており、開演中に開放したものと考えられる。

前述のホールの開放部といい、スペースを有効活用したり、イベントを円滑に進めるためのギミックがいくつも用意されているホールになっている。

展示スペースには弧を描くように細長いテーブルが置かれ、各新製品に触れることができる機会を提供していた。この展示スペースには多くの報道陣が一斉に押し寄せており、集まったプレスの人数に対して、若干、手狭に感じた。


階段の手すりにもこだわりがある(筆者撮影)

らせん状のエレベーターもユニークだったが、階段を上り下りする際に利用した手すりにこだわりを感じた。階段は石の壁に沿って弧を描きながら設置されているが、その壁の部分はくりぬかれ、手触りのよく握りやすい手すりになっていたのだ。

金属の手すりを設置するわけではなく、明るい空間の雰囲気を崩さずに手すりとしての機能を果たしている点、そしてその手触りがとても気に入った。

一方で、地上ロビー部分の床の目地は、建物中央付近では直角に交わっておらず、東西南北も外していた。なんらかの意図があるのかどうかはわからないが、こだわりの多い建物のこと、何か意図があったのかもしれない。

今後のアップルにとって「価値のある場」


米国時間9月12日のプレス向けイベントで、ティム・クックCEOが、共同創業者スティーブ・ジョブズ氏の意志を受け継ぐ思いが込められた新キャンパスを紹介(筆者撮影)

イベント後は晴れて暑くなった。強い日差しを受けたSteve Jobs Theaterは、美しい青空と雲の風景を映し出し、その円盤ごと、まるで空中に浮かんでいるかのような風景を作り出していた。

今後もアップルは、開発者会議以外のイベントをSteve Jobs Theaterで開催することになるだろう。象徴的な名前を付けた場所を設けて情報発信の拠点にしていくことは、体験をコミュニケーションで伝えていこうとしている今後のアップルにとっても、価値のある場となるはずだ。