【ワシントン=中村昌史】北朝鮮による拉致問題で米国と連携を深めようと訪米中の横田めぐみさん(52)=拉致当時(13)=の弟、拓也さん(49)らは12日、ワシントンで米国会議員らと被害者救出に向けた取り組みについて意見交換した。

 訪米団は13日、拉致問題のシンポジウムに参加し、拓也さんは「北朝鮮は圧力を受けたときに譲歩する。日米の連携とともに、解除したテロ支援国家指定を再びお願いしたい」と訴えた。

 到着直後から精力的に関係先を訪問する拓也さんは、国連安保理による追加制裁決議について「国際社会が一致して北朝鮮に向き合う動きで、日本にも重要な局面だ」と強調。半島情勢に「不安もあるが交渉には圧力が不可欠。被害者と家族の極限状況を全力で訴える」と力を込めた。

 関係者によると、訪問先は拉致問題への認識が深い議員や政府関係者も多く、日本の立場や取り組みに改めて理解を得たといい、圧力強化を確認した。

 12日、議員や国防総省担当者らと相次いで面会した訪米団は、過去の偽造ドル紙幣をめぐり、拉致された日本の印刷技術者らが関与させられた疑いなどを指摘。北朝鮮の軍事力強化に拉致問題が密接に絡む一面を伝え、緊迫する情勢の打開には被害者救出も重要であることを訴えた。

 北朝鮮が国家ぐるみの犯罪で得た資金を核・ミサイルの開発に流用している疑いがある中、外貨獲得を絶つ手立ても議論。巨額の金融詐欺や情報流出の被害が出ているサイバー攻撃への懸念で一致し、米側は攻撃を摘発する法整備などを加速させる意向を示した。

 同行する福井県立大の島田洋一教授は「米国が独自制裁などの圧力を強める可能性があり、日本も取り組みをさらに強化しつつ拉致問題解決を強く押し出すべきではないか」と話した。

 訪米団が13日に参加した戦略国際問題研究所(CSIS)主催のシンポジウムには、2004年に中国で拉致された疑いがある米国人のデービッド・スネドンさん=失踪当時(24)=の親族も出席。兄のジェームスさん(50)は「人間の恐怖や飢えを悪用する北朝鮮は疑いもなくテロ支援国家だ」と語った。