譲渡され、死んだ「ヤマトコブシカジカ」と深海エビ(提供写真)

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 横浜市金沢区の海洋レジャー施設「横浜・八景島シーパラダイス」で、外部の研究機関から譲渡された深海生物約90匹が全滅していたことが、関係者への取材で明らかになった。

 水槽内の水温上昇が原因という。

 譲渡したのは、深海などの観測を行っている国立研究開発法人「海洋研究開発機構」(JAMSTEC)の旧研究室。研究室の閉鎖に伴い、3月中旬にカサゴ目の海水魚「ヤマトコブシカジカ」や新種のイソギンチャクなど計約90匹を譲渡した。いずれも深海に住む希少性の高い生物で飼育水温は1〜4度が理想。限界温度は約10度とされる。

 施設によると、大量死が発覚したのは譲渡の約3カ月後の6月ごろ。水槽内の温度を保つ冷却設備が故障し、水温が上昇したのが原因。深海生物が死んでいた水槽内の温度を測定した際に、設定温度よりも高かったことから機械の故障が発覚したという。

 旧研究室関係者によると、旧研究室員らが大量死の事実を把握したのは大量死から約2カ月が経過した8月ごろ。別の旧研究室関係者らが、一部の深海生物を提供するよう施設側に求めた際、「水温の上昇で全滅した。標本にもできなかったため廃棄した」と返答があった。

 施設担当者は「譲渡された生物であり、譲渡の交渉時の担当者が退職していたことなどから報告する必要はないと判断した」と説明。一方、旧研究室関係者によると、譲渡案件は同機構にも引き継がれており、飼育方法に関する施設側からの問い合わせにも随時対応していたという。

 日本動物園水族館協会(JAZA)の岡田尚憲事務局長によると、深海生物は水圧の違いなどから、海上に引き上げた直後に死んでしまうことも珍しくなく、地上での安定的かつ長期的な飼育は「相当難しい」としている。ただ、今回譲渡された深海生物は旧研究室側が約10年前から飼育を始め、徐々に個体数を増やしてきたもの。旧研究室関係者は「すでに順応した深海生物の希少性は高い」とした上で、「(展示することで)深海生物の面白さを発見するきっかけになればと期待していたのに残念だ」と語った。

 施設担当者は産経新聞の取材に「機械が故障した原因は調査中だが、こちらにも落ち度はあったと思う。これからも真摯(しんし)に飼育を行っていきたい」としている。