ボンボネーラはピッチと近く、サポーターの声援がより迫力を増すスタジアムだ。 (C) Getty Images

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 南米の雄が、W杯出場を懸けた大一番に向けて行動に出た。

 アルゼンチン・サッカー協会(AFA)は、現地時間10月5日に本拠地で行なうペルーとのロシア・ワールドカップ南米予選17節の試合会場変更を提案し、それが正式に承認にされそうになっている。
 
 現在、ロシア・ワールドカップに向けた南米予選は残り2節となり、いよいよ大詰めの段階に入った。その中でアルゼンチンは、本大会出場圏内の4位ペルーとは同勝点(24)ながら、大陸間プレーオフに回る5位に甘んじている。
 
 そうした状況下で10月5日にペルーとホームで激突するアルゼンチンは、この一戦で必勝を期している。その意気込みが、協会を突き動かした。
 
 同国メディア『Tycスポーツ』は、「9日にAFAが試合会場をリーベル・プレートの本拠地エル・モヌメンタルからボカ・ジュニオルスの本拠地であるボンボネーラに変更したいとFIFAとペルー・サッカー協会(FPF)に提案した」と伝えた。
 
 このAFAの提案に対して、FIFAは「対戦国の承諾があれば変更可能」としたが、一方のFPFは「ボンボネーラではサポーターが相手選手に催涙ガスを吹きつけたことがある」と、2015年のスーペル・クラシコで起きた事件を引き合いに出して拒否を表明していた。
 
 AFAはピッチとの距離が近く、相手によりプレッシャーをかけたいという意図から会場変更を提案したとされるが、5万7921人収容のエル・モヌメンタルに比べ、ボンボネーラは4万9000人しか収容できないうえ、アウェーサポーターとの区分けが難しく、混乱を招きかねないために変更は至難とも見られていた。
 
 しかし、事態は急転直下で再び動き出す。9月12日にFPFの役員がボンボネーラを視察したのだ。これを受けて、アルゼンチン紙『オレ』は、「開催地の変更が決定的となった」と報じ、これに続くように同国メディアは、一斉に開催地の変更決定を伝えた。
 
 早ければ14日にAFAから正式な発表があるという開催地の変更だが、国内では過去の苦々しい経験から、その決定は良く思われていないようだ。
 
 というのもアルゼンチンは、1969年の南米予選において、ボンボネーラでペルー代表と対戦し、2-2で引き分けた結果、1970年のメキシコ・ワールドカップ出場を逃しているのだ。しかも、アルゼンチンが南米予選で敗退したのはこの一度きりである。
 
 そんな屈辱を味わってから、アルゼンチンがボンボネーラを使用してこなかったわけではない。ワールドカップ南米予選においては、3試合を行ない2勝1分けと好成績を収めてもいる。がしかし、今回は相手がペルーなのだ。
 
 エヌ・モヌメンタルを本拠地とするリーベルのロドルフォ・ドノフリオ会長は、Tycスポーツの取材に対して、「1969年に敗退が決まった時、私はボンボネーラにいた。私ならペルー戦の舞台にあそこは選ばないだろう。別の試合ではあるだろうが……ペルー相手ならば万が一同じことが起こりうる」と危惧している。
 
 普段は多くのボケンセ(ボカの熱狂的サポーター)たちで埋め尽くされるボンボネーラは、代表チームの背中を押し、W杯出場に向けた文字通りのサポートを果たせるだろうか?