CLデビュー戦でスーパーゴールを決めたザッパコスタ。チェルシー移籍後の初得点となった。(C)Getty Images

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 現地時間9月12日のチャンピオンズ・リーグ(グループC1節)で、アゼルバイジャンのカラバフを6-0と完膚なきまでに叩き潰したチェルシー。中でも本拠地スタンダード・ブリッジを大いに沸かせたのが、30分の2点目だ。
 
 自陣右サイドでGKからのスローイングでボールを受けたダビデ・ザッパコスタが、そのまま一気の加速で敵2人を抜き去って敵陣に押し入る。そして、ペナルティーエリアのラインあたりから右足を振り抜くと、ボールはゴールネットに突き刺さった。
 
 約50メートルを駆け上がってのスーパーゴールには、現地実況も大興奮。アントニオ・コンテ監督と揉めていまだ“ボイコット中”のジエゴ・コスタにかけて、「Nevermind Diego Costa ! How about Davide Zappacosta !」(ジエゴ・コスタはもう気にしない! ダビデ・ザッパコスタはどうだ!※2人は頭文字の「D」と「COSTA」が同じ)と叫んだ。
 
 試合後にも現地メディアからも称賛の声が集まる。『ESPN』はチーム最高の採点9点を付け、以下のように寸評した。
 
「コンテがヴィクター・モーゼスを休ませることを決めて、ザッパコスタはチェルシーでホームデビューを果たした。右サイドで脅威になったイタリア人は、難しい角度から印象深いゴールを決める。狙いはクロスだったかもしれないが、それは重要ではない。素晴らしいゴールだった。バチュアイの2点目もアシストしたザッパコスタは、新しいカルトヒーローになる可能性を秘めており、モーゼスからポジションを奪うかもしれない」
 
 ザッパコスタ自身も試合後、自身のツイッターで「チャンピオンズ リーグとスタンフォード・ブリッジで最初の夜! 素晴らしい夜!」と喜びを表現した。
 
 しかしこのザッパコスタ、実は期待値がそれほど高くなかった。今夏のチェルシーはモーゼスと右WBで競い合える新戦力の獲得に動いていたが、アントニオ・カンドレーバ(インテル)、ダニーロ(R・マドリー→マンチェスター・C)、アレックス・チェンバレン(アーセナル→リバプール)など狙ったターゲットの獲得にことごとく失敗する。
 
 移籍期限最終日の8月31日にトリノから獲得したザッパコスタは、チェルシーにとっていわば「妥協の選択肢」だったのだ。25歳までCL経験がなく、A代表歴もわずか4キャップ(現在は5)とイングランドでは無名に近かったイタリア人には、懐疑的な見方が少なくなく、2800万ユーロ(約35億8000万円)という移籍金にも割高との声も上がった。
 
 しかし、ザッパコスタはそうした疑問符をたった1試合で一掃。圧倒的な格下が相手の試合だったとはいえ、CLとホームのデビュー戦で1ゴール・1アシストは最高のスタートだ。同胞のコンテ監督も「本人はクロスを狙ったらしいけどね。でも、素晴らしいゴールだった」と喜んだ。
 
 昨シーズンのチェルシーでは、同じくトップターゲットを逃した末の妥協の選択肢としてマーケット最終日に加入した、ダビド・ルイスとマルコス・アロンソが絶対的な主力に成長。ザッパコスタも彼らに続く“掘り出し物”になるかもしれない。