「コスパの悪い」手術も存在する

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「これだけ高額な最先端の治療だから、効果があるに決まっている」──残念ながらそれは患者側の思い込みだ。現実には高額なわりに成果が望めない、「コスパの悪い」手術が存在しているのである。

 動悸や息切れ、めまいなどの原因となる不整脈(心房細動)の治療法には、抗血栓療法や薬物療法のほかに、心房筋に熱を加えて焼灼し、筋肉の働きを低下させて不整脈を抑える「心臓冠動脈のカテーテルアブレーション」という治療法が使われている。

 このアブレーション手術には高額療養費制度が適用されるが、それでも、「再発」すれば100万円近くなることがある。

「アブレーション手術は1回で治らず2〜3回やる場合が多く、その場合、入院にかかる費用も含めて費用が膨れ上がります」(医療経済ジャーナリストの室井一辰氏)

 アブレーションは、無駄な医療を撲滅して賢い選択をしようというアメリカの運動である「チュージング・ワイズリー」でも「再発するケースが多い」と問題視されている。

 年間およそ900件のカテーテルアブレーション治療を行なっている横須賀共済病院循環器病センター内科の高橋淳・センター長はこういう。

「臨床経験が豊富な医師とそうでない医師では、大きな差が出てしまうのです。通常は1回の治療で4人に1人は再発します。焼いても、時間の経過とともに元に戻ってしまうのです。

 発作性心房細動の再発率が25%で、持続性心房細動では再発率は40%に迫るため、患者への負担も大きくなります」

 心房細動というのは、放置しておくと脳梗塞のリスクが5倍、心不全が4倍、認知症が1.4倍に高まるとされているが、心房細動自体は死に至る病ではない。

「必ず脳梗塞などの病気になるというわけではないので、患者さん本人がそのリスクを背負うなら、薬で抑える治療も選べます」(前出・高橋氏)

※週刊ポスト2017年9月22日号