2020年東京五輪・パラリンピックの都外施設の運営経費などに宝くじの収益を充てることが決まったが、依然、県の関係部局では不安をぬぐうことができない。

 自治体ごとの配分方法が明らかになっておらず、宝くじで賄える範囲が判然としないためだ。県内で充当対象となりうるのは、競技会場の幕張メッセ(千葉市美浜区)の改修や輸送面のバリアフリー化などの事業費72億円。そもそも自治体が担う業務といった未解決の課題にも説明はない。「協力県の綱引き」(森田健作知事)を招くのか。残り時間が迫る中、大会準備への焦りは増幅しかねない。

 都を含む競技開催自治体は、宝くじ財源を活用する経費340億円のうち、開催自治体所有の会場施設の恒久的改修▽輸送、セキュリティー対策など、自治体で担う通常無償提供している行政サービス▽機運醸成、ボランティア育成などの業務−などの「行政的経費」に155億円を割り振ることで合意した。

 ◆総経費は150億円

 県オリンピック・パラリンピック推進課によると、想定される県の五輪・パラ事業の総経費は150億円。予備費を含めると180億円に上る。

 うち、行政的経費に見込まれるものとして、幕張メッセの大規模改修費55億円▽県立九十九里自然公園などのサーフィン会場(一宮町)の整備費2億円▽機運醸成事業費7億円−など、計72億円の事業費が挙げられる。また、観光客の受け入れ体制の整備に22億円がかかるとされるが、会場都市の幕張での外国人観光客向け案内板の設置などが行政的経費に組み込まれる可能性もある。

 他の自治体でも、神奈川県ではセーリング競技会場の恒久的施設整備費に40億円、埼玉県では競技会場のさいたまスーパーアリーナや埼玉スタジアムの改修に四十数億円がかかる見込みといい、関係自治体全体の行政的経費はさらに膨らむとみられる。だが、155億円の内訳でどの事業にいくら充てられるのかは明らかにされておらず、自治体間の配分の割合も示されていない。

 ◆新たなもめ事も

 配分を決める全国自治宝くじ事務協議会の会長は小池百合子都知事が務めるが、配分方法次第では自治体間に不平等感が生じる恐れもある。森田知事は「配分をめぐって、協力県同士で綱引きが始まってしまうかもしれない。都にはそんな問題が起こらないようにやってもらいたい」と指摘。県も「費用の配分をめぐって、新たなもめ事の種にならなければいいのだが」と懸念する。

 また、都から具体的な業務計画が提示されていないことも不安に拍車をかける。県内では幕張メッセと一宮町の2会場が設けられるが、会場までの具体的な輸送ルートや警備など運営面での計画が示されておらず、県で行うセキュリティー対策や道路整備、バリアフリー化といった業務の進捗(しんちょく)に支障が出る恐れもある。県は「都の輸送・セキュリティー計画が示されなければ、県が具体的にどういう業務を担うべきなのかが分からず、準備に入れない」と不満をこぼす。

 宝くじの活用で一歩前進したことは間違いないが、「費用負担も大事だが、具体的な業務内容を決めてから経費の精査を急ぐべき。準備に向け、早期に提示するよう今後も都に求めていく」としている。