九州電力は12日、玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の再稼働を織り込み、平成30年3月期の決算見通しを発表した。

 東京電力・福島第1原発事故後、経済産業省が主導する形で、エネルギー業界の再編構想が進む。九電は玄海原発と川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の計4基を稼働させることで、再編の嵐を乗り越える体力をつける。 (中村雅和)

 九電の発表によると、玄海原発3号機は来年1月、4号機は同3月に再稼働すると想定した。再稼働によって1〜3月で計150億円の増益効果がある。

 一方、32年4月の発送電分社化を義務づけた電力システム改革への対応費が、130億円も増加するなど、利益を押し下げた。

 この結果、30年3月期の連結の業績予想は、売上高が前期比1175億円増の1兆9450億円、最終利益は同292億円減の500億円で、増収減益とした。6期ぶりに中間配当を実施し、通期の配当は前期比5円増の20円とした。

 ◆脱「片翼飛行」

 福島原発の事故から6年半、九電はその体を削り続けた。

 原発が長期停止し、代替火力発電の燃料費が経営を圧迫した。コスト削減、役員や社員の給与カットでは追いつかず、料金の本格値上げに追い込まれた。

 原子力規制委員会による審査に合格し、川内原発1号機が27年8月に、2号機は同年10月に再稼働した。

 だが、玄海原発の審査は長期化した。川内原発が稼働している以上、再値上げはできない。片翼飛行が続いた。電気料金は他電力の平均に比べ、7%程度低い水準だという。

 経営の健全性を示す自己資本比率(単体)は、22年度末の24・9%から、26年度末に7・3%まで急落した。川内原発が動いたことで28年度末は10・5%に回復したが、以前の水準にはほど遠い。

 九電が“弱体化”している間、国内の電力会社、ガス会社を巻き込んだ業界再編へ、強風が吹き始めた。

 すでに東京電力と中部電力が、火力発電事業の統合を決めた。関西電力と東京ガスは、液化天然ガス(LNG)の調達・発電で提携に合意した。

 電気事業連合会のある幹部は「経産省は、日本国内に電力会社は多すぎると考え、将来の図を描いている。再編圧力は強まり、それに乗る会社も出てくる」と打ち明けた。

 九州だけが、再編から逃れることは難しい。九電が独自性を維持して再編の嵐を乗り越えなければ、九州のエネルギーは、他エリアの企業に掌握される。

 同日の記者会見で瓜生道明社長は「合従連衡をこちらから仕掛ける余裕は、まだない。まずグループの財務をしっかり回復していきたい」と語った。