暗闇で運動するフィットネスジムが増えている。

 「レディ・ガガが痩せた」とネットで話題になった米国発祥のバイクエクササイズに始まり、トランポリン、ボクシング、ヨガ…と気付けば2匹目、3匹目のドジョウがニッポンの暗がりにわらわら。シャイな日本人気質に合うんだとか。 

 ◆自分のペースで集中

 渋谷・宮益坂。「ビーイングヨガ」の扉を開けると、闇に包まれた。ズン、ズン…とビートが響き、ブラックライトが回る。怪しいクラブ? ではない。ゆるんだ体を一絞りしたいと出かけたのだ。

 「右足を股関節から後ろに伸ばして、高く、もっと…」。男性インストラクターの指示のもと、アップテンポな曲に合わせ次々とポーズを変える。静かなイメージのヨガとは大違い。左右を間違えてハッと焦るが、他人から見えないので安心。50分間の終盤はふらついたが、筋が伸び、体が軽くなって爽快である。

 「これまでのヨガ教室では上手な人の姿に気後れしたけれど、ここは自分のペースで集中できる」と3回目の川崎市のOL(26)。

 2月にオープン。客層は30歳前後の働く女性が中心だ。50平方メートルの狭いスタジオに月に延べ400〜500人が参加し、料金は1回3500円など。プロジェクションマッピングを使い、プラネタリウム風の星空を投影してのヨガなども行っている。

 ◆飽きさせぬ非日常空間

 「暗闇だからこそ照明や映像、音響で飽きさせない非日常のエンターテインメント空間が作れる。フィットネスの間口を広げたい」と中川瑞穂社長(31)。東大経済学部卒業後、モルガンスタンレー証券などを経て独立。ニューヨークの「クラブヨガ」に着想を得て、昨年、日本で運営会社を立ち上げた。

 「『こんなのヨガじゃない』と返金を求められたこともある。万人受けするとは思わないが、先行する暗闇フィットネスの動向をみても日本には掘り起こせる市場がある。『見られたくない』という日本人独特の感性の受け皿にもなっている」

 大量の汗をかき、体が絞れた実感はあるが、シャワー設備がないことが残念。「ここは手狭なため断念したが、年内に計画中の2店舗目は環境を整えた施設にして、将来は全国展開を考えています」と、中川社長は夢を語った。

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 日本の暗闇フィットネスの草分けは平成24年、銀座にオープンした「フィールサイクル」だ。運営するベンチャーバンクによると、「レディ・ガガが痩せたとウワサになっていた暗闇バイクエクササイズを、日本流にアレンジした」という。5年間で首都圏を中心に26店舗に拡大。

 1カ月30回まで利用できるコース(1万4800円など)で連日通う人が多く、盛況のため新規会員を受けられなくなった店舗もある。同社は昨年から暗闇トランポリンスタジオ「ジャンプワン」も銀座や新宿など都内に4店舗展開し、運動に縁がなかった主婦層を集めているそうだ。(重松明子)