大北森林組合(大町市)による補助金不正受給事件で、県は12日、指導・監督の不備を問われて国から課せられた加算金約3億5300万円について、県職員11人に損害賠償請求する方針を決めた。

 県が設置した検討委員会(委員長・碓井光明東大名誉教授)が、11人に賠償請求が可能としたのを受けた対応。それぞれの責任の有無や賠償額は、地方自治法に基づき、県監査委員に対して要求監査を行い、判断を委ねることにした。

 11人は平成21〜25年、県北安曇地方事務所(現北アルプス地域振興局、大町市)に在籍。検討委が阿部守一知事に提出した報告書では、林務課の課長1人と係長3人は書類のチェックを怠るなど地方自治法に抵触する「重大な過失」があったとし、担当職員7人に対しては、現地調査を行わなかったなどとして、民法上の過失を認めた。

 県森林政策課によると、賠償請求の内容は、係長以上の4人には最大で計約1100万円、担当職員7人は同約7200万円の請求が可能だという。要求監査に当たっては、11人がすでに懲戒処分を受けていることや、県組織全体で加算金相当額の人件費削減に取り組んでいるとの留意点を挙げ、監査委員に減額を考慮するよう求める。

 監督責任を示すため、阿部氏に対しても給料10%減額3カ月、太田寛、中島恵理両副知事は同2カ月とし、9月定例県議会に特別職給料条例の改正案を提出する。

 職員への賠償請求に伴い、大北森林組合に約6700万円、同組合の元専務理事に約1億3千万円を請求する方針も発表。組合についてはすでに、総額9億円を超える補助金の返還請求を行っており、組合側の返還計画の履行状況などを勘案した上で請求額を最終決定する。

 阿部氏は記者会見で、「熟慮を重ねて出した結論」と強調。同時に「県民の理解を得られるかは県民自身が決めること。県民に選んでいただいた知事として最善を尽くさなければならない」とも述べた。

 職員への賠償額決定に際し、要求監査したことに関しては「監査委員は独立した機関として主体的な判断を示すことになる」と説明した。

 地方自治法199条6項の規定では、自治体の首長から事務執行上の要求監査があった場合、監査委員は該当事項を監査をしなければならない。

 知事が要求監査を行うのは、14年に田中康夫元知事が県議の海外視察を対象に、違法・不当な支出の有無について監査を求めて以来、2回目となる。このときの監査結果では、不当な支出があったため一部返還の必要性を認めた。(太田浩信)